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とりあえず、余り空気も良くないので逃げ出そうと椅子から立ち上がると、何故か花宮くんに腕を掴まれる。
しかも結構痛い。
そして顔も怖い。
「ふはっ、逃げんな」
「えと…花宮くんは、わたしになにか用があるの?」
「ちょ、なまえちゃんめっちゃ顔引きつってるんだけど」
「花宮、話なら俺がするからみょうじの腕を離してやってくれ。それに痛そうだ」
「花宮が完全に悪役になっててウケるんだけど。いや、悪役だけど」
「原、お前マジ黙れ」
しかし古橋くんのおかげなのか原くんのおかげなのかわからないが、舌打ちをしながらもわたしの腕を離してくれる花宮くん。
てか、なんで睨むの…怖いんですけど…。
とりあえず、今すぐこの場から逃げ出したいのでゆっくりと花宮くんから離れると、原くんが通さないよ? と言わんばかりにわたしの目の前に立ち塞がる。
「はいはーい。逃げちゃダメだよ〜」
「えと…花宮くんは、わたしに用がある訳じゃないみたいだから…もういいでしょ?」
「いや、用がないのに花宮が呼ぶ訳ないっしょ。まぁ、古橋いるから大丈夫だって」
「ふ、古橋くん?」
「花宮も原も意味もなくみょうじを巻き込むのはやめてくれないか」
そう言いながら古橋くんが通せんぼをしている原くんを押し退けると、わたしの腕を引くと図書室から出してくれた。
その後ろでは、原くんと花宮くんがなにかを言っているがよくわからない。
というか、よく見たら古橋くんもなんか怖い顔してるし。え、なんなの…本当に…。
「古橋、お前が俺に逆らうとはいい度胸じゃねぇか」
「逆らったつもりはない。ただ、みょうじは関係ないだろう」
「あ? 関係あるから呼んだんだろうが」
「えと…わたしなにかした?」
「みょうじは、気にしなくていい。だから教室に戻るといい」
「うわぁ〜古橋が花宮に反抗とかレア過ぎっしょ」
なにがなんだかなわたしに、教室に戻れと言わんばかりの顔をする古橋くんに素直に頷いた。
実際、この場にいるのは辛いし。話の趣旨もわからなければ、なにもわからないし。
なにより、花宮くんと古橋くんの雰囲気が怖かったし。色んな意味で堪えられる気がしなかった。
「迷惑を掛けてすまない」
「え、いや…大丈夫だけど…」
「気にしないでくれ」
「あっ…うん」
「なんて言うかさー古橋って」
そして原くんがなにかを言い掛けた瞬間に、古橋くんが図書室のドアを閉めた。
そしてなんだかよくわからないが…とりあえず、わたしはそのまま教室へ戻った。
(あ、なまえちゅんおかー)
(瀬戸くんなんだったの?)
(う、うーん…よくわからない)
(ちょ、なにそれー)
(いや、瀬戸くん寝てたし…)
(なにそれ、ウケるんだけど)
(とりあえず、よくわからない…)
(まぁ、気にすんな気にすんな)
(う、うーん…)
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