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「"二日目、9時までの死亡者を発表します。大坪泰介は、銃による自殺で死亡。赤司征十郎は、毒薬による自殺で死亡。死亡者は2名です。繰り返します…"」
まさかの2人連続で自殺とはこれ如何に。
しかしそんなアナウンスをゆっくりと聞く暇もなく走り続けている者がいた。
花宮チームの相田リコだ。
「リコさん待って下さいよ〜」
「なんだろうね、逃げられると意地でも捕まえたくなるこの感じは」
「・・・くっ!」
「そんなに走ると危ないですよ〜?」
「あんた達の方が危ないわよ!」
ごもっともである。
そしてリコを追い掛けているのは、氷室と桃井だ。
リコは、伊月と行動を共にしていたのだが氷室と桃井の急な奇襲によりバラバラに逃げてしまいはぐれてしまっていた。
そして氷室は、パッと見手ぶらに見えるが桃井の手にはスナイパーライフルとなんだかよくわからない小瓶を持っていた。
そしてリコも決して武器がない訳ではない。むしろ、青峰と灰崎のお陰でかなりいい武器を持っている。
しかし未だにこのゲームに馴染めていないリコはショットガンを持ちながらも、まともに銃口を2人に向けられず逃げ回っていた。
「ハァッ…も、もう逃げられませんよ?」
「ハァッ…ハァッ…しつこい奴は嫌われるわよ」
「ふふっ、それは困ったな。桃井は、休んでるといい。俺が始末するよ」
「ご、ごめんなさいっ…」
「ハァッ…私も休ませてくれると有り難いんだけど?」
「もちろん、すぐに休ませてあげますよ」
リコは、必死にショットガンを氷室に向けるがそんなのお構いなしといった様子でにこやかな笑みを浮かべながらゆっくりと氷室が歩いてくる。
後ろには、膝に手を付きながらではあるがリコにスナイパーライフルを向けている桃井。
撃たなきゃ殺られるとわかっていても、やはりそう簡単に割りきれないリコは引き金を引けないまま氷室に距離を詰められる。
「このゲームは、貴女には向いてない」
「なっ…!?」
「だから、せめて痛みを感じない様に…ね?」
氷室が優しくリコの耳元で呟くとカチャリとリコのこめかみに隠し持っていたデリンジャーを押し付け、そのまま撃ち抜いた。
氷室は、リコの血を浴びながらも力なく崩れたリコの体をゆっくりと地面に寝かせた。
そして未だ、膝に手を付きながら息が荒い桃井に微笑み掛けてからゆっくりと移動をした。
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