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「"14時までの死亡者を発表します。若松孝輔は、ナイフでの攻撃による出血により死亡しました。死亡者は1名です。繰り返します…"」
鳴り響くアナウンスに赤司は、すぐに確認をする為に若松と行動を共にしていた諏佐に連絡をする。
もちろん、近くに葉山を呼び付け周りの警戒をする様に指示を出してからだ。
「今のアナウンスは、どういう事です?若松さんは、諏佐さんと古橋さんといたはずじゃ?」
「"わ、悪いっ…急に森山と実渕が襲って来て逃げてる途中ではぐれたんだ…"」
「そうだったんですか。で、諏佐さんは今1人みたいですが…早いところ古橋さんと合流して下さい"」
「"はぐれてすぐに若松と古橋の位置を確認したんだが、あの2人は一緒に行動してたみたいなんだ"」
「…古橋さんはずっとこの位置から動いてない。もしかしたら、怪我でもしているのかもしれないですし、早めに向かって下さい」
「"あぁ! 今向かってる。とりあえず、古橋に合流したらまた連絡をする"」
諏佐は、赤司の返事を聞く前に通話を終了した。唯一の3年だった諏佐は、責任を感じていたのだ。
自分がしっかりしていたら若松は、死なずに済んだかもしれないと…ピクリとも動かない古橋の丸印に不安を抱きながらも必死に足を進めた。
そしてやっと古橋を見付けた諏佐だったが、力なく木に寄り掛かる様に座っている古橋に自然と駆け寄る足が早くなる。
「ふ、古橋…大丈夫か!?」
「あぁ、諏佐さんですか…」
「怪我してるのか? すぐ手当てする…」
「…若松が俺を逃がしてくれたんです」
「…そ、うだったのか。すぐに駆け付けられなくてすまなかった」
「いえ、俺はなにも出来なかったんで…」
悔しいのか悲しいのか、よくわからないが諏佐はなにかを感じ取ったのか、古橋の腕の傷を手慣れた手付きで手当てをするとすぐに赤司に連絡を入れた。
負傷はしているが古橋が無事な事と、古橋を守って若松が殺られた事を伝えた。
そして赤司は、諏佐に古橋と若松が誰に襲われたのかを聞いた。
それに対して、諏佐は古橋の口から言われた通りに"誠凛の監督と伊月に襲われた"と。
実渕と森山に襲われた後、慎重に若松と森の中を進んでいたら相田と伊月が現れて問答無用で襲って来たと。
それに対して赤司は、少し考えている様子だったがすぐに古橋の傷の具合がよくなるまでは、なるべく安静にしている様にと伝えて通話を終了した。
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