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そして接近戦をする事になった、キラと灰崎はというと。
「ちょっと! ナイフだけだっつっんじゃん!」
「知らねぇなぁ! 勝ちゃあいいんだよ!」
「あーん? そういうこと言っちゃう? 手榴弾投げてもいいんだよ? 爆発しちゃう? きたねぇ花火になりたい?」
「わかった! わかったから爆死だけはやめてくれ! 虹村につまんねぇ死に方したらボコるって言われてんだよ!」
「よし、わかればよろしい。ほらほらァー行くよ!」
なんだかよくわからない戦いを繰り広げていた。もはや、キラがただの戦闘民族なんじゃないかと思うレベルである。
キラの提案でナイフのみで戦っているが、どう考えてもキラが有利である。
ナイフのみとか言ってるわりには、ゴツい指輪を付けた拳で殴ったりネックレスを振り回したりとしているがいいのだろうか。
しかし、さすがは喧嘩慣れをしている灰崎である。キラの攻撃をかわしつつ、一応女であるキラに容赦なく殴り掛かる。
「うんうん、やっぱり君は殺りがいがあるね! ちょっとワンパターンだけど」
「んだとぉ?!」
「ほらほらァー! 避けないと危ないよー!」
「ぐっ…! お、お前ホントに女かよ…」
「失礼な! 一応、女の子ですぅ!」
「ゲホッ…それでも一応なのかよ」
キラのフェイントからの右ストレートが見事に灰崎を捉える。嫌な音と共に灰崎がお腹を押さえつつキラから距離を取るが…
キラがそれを許さずにすかさずドロップキックをした。
が、当たらない!
舌打ちをしながらも避ける灰崎だが、キラもすぐに体勢を整えて突っ込んでくる。
「うーん、楽しかったけど…あんまり時間掛けるのもあれだからね!」
「テメェ…手加減してたのかよ!」
「まっさかぁ? 力は出し切ってるよ? ただ、ちょっと時間の調節してただけ」
「マジでお前、何者なんだよ」
「えへへ、ただの霧崎バスケ部マネージャーでっす!」
「ガハッ…ただのマネージャーがこんな喧嘩つえーとかねェよ…アホが」
蹴りのフェイントからのナイフ攻撃により、ついに膝を付いた灰崎。
なんて女だ…と呟きながらも痛みでまともに動けない灰崎は、ナイフを構えるもどうする事も出来ずにニコリと笑いながらナイフを振りかざすキラに舌打ちをしながら目をつぶった。
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