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裏切りのアナウンスに動揺する者もいたが、それどころではない面々がいた。
「よう、伊月」
「・・・日向にコガ」
「1人って事は、まさか伊月が裏切り者だったりする?」
「まさか、そんな訳ないだろ」
「なぁ、コガ? 伊月は俺に譲ってくれないか?」
「えっ、1人で戦うの!?」
アサルトライフルを構える伊月に日本刀とリボルバーを構える日向。
そしてその2人から少し離れて小金井がマグナム2丁を構えていた。
まさかの誠凛大集合である。しかも日向は、伊月とサシで戦いたいと言い出したのだ。
小金井は、少しだけ考える素振りを見せるが…日向と伊月が何故か生き生きとした顔をしているのを見てゆっくりと頷いた。
「1人は、危ねぇから誰かに連絡して出来るなら合流しとけ」
「わかってるよん!」
「まぁ、勝つのは俺だけどな」
「あぁ? 負けねーっつの! フィギュアは俺のもんだ!」
そんなよくわからない会話をしながらジリジリと臨戦態勢に入る2人をなんとも言えない表情で見つめつつも、小金井は足早にこの場を離れた。
そしてそれを確認した日向と伊月は、ニカッと笑うと一気に距離を詰める。
あえて、銃撃戦をしないのは2人の意地なのか…日向は日本刀を、伊月は腰に差していた金属バットをそれぞれ構えていた。
そして場面は、変わる。
両手にナイフを持ちながら凄い勢いで走っているのは、葉山だ。
今吉チームから逃げてから、すぐに古橋の裏切りで諏佐が殺された。
そして裏切り者である古橋を探すにも、GPSが反応をしてくれず葉山はただ闇雲に走り回っていた。
赤司が古橋を少し気にしていた理由がわかり、なんとも言えない…怒りにも似た感情が葉山を埋め尽くしていた。
そしてそんな葉山の視界に支給武器の箱を開けようとしている2人が入る。
木村と小堀だ。
しかし、木村と小堀は支給武器に気を取られていて葉山に気付いていない。それがわかってか知らずか葉山は、忍び歩きで2人の背後に回るとなんの迷いもなく2人の首筋目掛けてナイフを振り下ろした。
ドサリと倒れる2人に見抜きもせずに支給武器を手に取るとその場からすぐさま離れるとまた走り出す。
葉山は、どうにかして裏切り者の古橋を見付けて自分の手で殺したい様だった。
そしてそのまま葉山は、闇雲にまた走り出したのであった。
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