ゲームを殺ろう! | ナノ
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一方、廃屋がいくつもある廃村の様な場所では、黒子が膝を付いて頭から血を流していた。



「か、火神くん…逃げて下さい」

「黒子、大丈夫かっ!?」

「テツくん酷いよ。私に向かって銃を撃つだなんて…」

「ふふっ、本当だよ。女の子には優しくしなくちゃダメじゃないか」

「桃井にっ…タツヤッ…!!」

「テツくん頭がフラフラするでしょ? でも大丈夫だよ、すぐによくなるから」



ニコリと後ろに手を組んだまま頭を傾げる桃井は、いつもの笑顔なのにそれはそれは恐ろしい物だった。


黒子が膝をつく少し前に黒子と火神は、数多くある廃屋の中を慎重に探索していた。そして次の廃屋へ向かう途中で桃井に会ったのだ。

そこで桃井がとんでもない事を言い出したのだ。



「私、今いるチーム裏切ってテツくんのチームに入るっ…! だからっ…」

「…裏切るって、それってチームのやつを」

「テツくんの為ならそれくらい出来るもん!」

「…普段の桃井さんの言葉なら信じたんですが、これはゲームです。そう簡単に信じられないです」

「そ、そんなっ…本当にっ…ほら? なにも私持ってないよ? …キャッ!」



両手を広げながら武器を所持していない事をアピールする桃井に対して、黒子は銃口を向けた。

そして威嚇射撃と言わんばかりに桃井の足元に向かって銃を発砲した。

さすがに桃井も信じられないといった顔をして足を止めると、今にも泣きそうな顔をして黒子を見つめた。



「すみません…これ以上、近付かないで下さい。信じれるのは、かがっ…!」

「背後には、気を付けようね?」

「や、やはりっ…!」



というやり取りがあったのだ。

ちなみに背後から黒子の頭を正確にぶん殴ったのは、氷室だ。もちろん、桃井の毒薬が塗られた傘でだ。

その為、普通に傘で殴られただけでもかなりのダメージなのに毒により血が止まらないし、頭はフラフラとするしで黒子は、膝を付いて動けないでいた。



「桃井、テメェ…黒子が好きなんじゃねぇのかよ! タツヤもタツヤだぜ!?」

「やだなぁ〜かがみん…これ、ゲームだよ? そりゃあテツくんは好きだけど…私ね、負けるの嫌いなんだ」

「桃井さんの言う通りだ。それにだ、ゲームだろうとなんだろうと全力でやるのがプレイヤーとしての義務だろ」



桃井の隣に移動した氷室が黒子の血で染まった傘を肩に担ぎながらニコリと笑った。

そうこれは、ゲームだ。

だが、それ故に手を抜くなど、この2人には考えられないのだ。やるからには、全力でという精神の2人はニコニコと笑ったままどうする? と言わんばかりに頭を傾げた。




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