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へ、ヘルプミー!!
わ、わざとじゃないんです! 本当にわざとじゃないんですよ! ホームの階段から荷物を落とすとかそんな事をわざと出来る程、わたしは器用じゃないです!
だから、そんな呆れた顔をしてわたしを見つめるのはやめて!! いや、まじで! 本当に謝るから! 大変申し訳ない!!
「で、終電を逃した感想は?」
「……こ、困りましたね」
「他人事か。どないするん? タクシーなんか使ったら破産すんで」
「…し、始発で帰ります。幸い、明日は日曜日だし…部活は遅れて行けば大丈夫だろうから」
「で、その始発までどこにおるつもりなん? そないお金も持っとらんやろ」
ぐ、ぐへぇ…。
呆れた顔をしながらも、淡々とド正論をぶつけてくるひーちゃんに何も言えなくなる。
電車代は残しとかなきゃならないし…贅沢は言ってられないので、別に漫喫でいいかなとか思っている。駅前なら漫喫とかカラオケもあるし、始発までそこで時間を潰せば大丈夫だろうと思っています。
ちょっと不安があるとしたら年齢確認をされるかもって事くらいですかねっ!!
「まさか、カラオケとか漫喫とかで時間潰そうとか思ってへんよな?」
「ま、ままままさかっ!」
「…ほーん。ほな、どうする気なん?」
「えっ、えーと…」
「はぁ…うちに来ます? 話したと思いますけど、今日明日は家に誰も居らんし」
「それは、流石に悪いかなぁ〜…って。わたしがやらかした訳だし」
「今更やん。今日も散々やらかしとった上に、さっきまで居ったんやから気にせんでええですわ」
ちょっと前からひーちゃんと遊ぶ約束をしていて、大阪を軽く案内するからって事で…朝から遊びに来てたんだけど、途中でわたしが疲れたのでひーちゃん家にお邪魔してました。
尚、家の人はひーちゃんが言った通り居ませんでした。なにやら、昨日からお兄さん夫婦と一緒に旅行に言ったとかなんとか…。
とりあえず、ひーちゃん的にはカラオケも漫喫もダメっぽいみたいなので、どうにか誤魔化したいところなんだけど…はい、ひーちゃんの笑みに圧を感じる限りそれは無理そうですね!!
「そもそも、この時間にこの辺で女が1人で居るとか自殺行為やで? 治安悪いねんから」
「そ、そうなの?」
「土曜の夜で、いつもより人が多いねんから当たり前やろ。そもそも、なまえさんはやたらと変な事に巻き込まれるんやから1人でふらふらすんのやめとき」
「失礼な! たまに迷子になったりはするけど、変な事に巻き込まれたりしないよ!!」
「いや、迷子も大概ヤバいねんけど…まぁ、ええわ。ほな、行くで」
「えっ、いや…ちょっ!?」
そしてわたしの言葉を無視する様に手を引くひーちゃんであった。
なんてこったい!!
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