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久し振りに部活が休みの日に、まさかなまえの相手を頼まれるとは運がいいナリ。
まぁ、なまえはかなり不満そうじゃが。
それにしても、跡部とのあれはデートって言わんじゃろ。誕生日だから付き合え的なノリで連れていかれただけじゃろ。
そもそも跡部の場合、一般的なデートな訳ないじゃろうしな。そこでじゃ、俺がなまえに一般的なデートってのを教えちゃる訳じゃ。
というのは建前で、俺がなまえとデートしたいだけなんじゃがな。
「ほれ、変な顔しとるんじゃなか。行くぜよ」
「はっ!? どこに!?」
「それは行ってみてのお楽しみにじゃ」
「もう突っ込むのも面倒臭いし、好きにしてくれ」
どうせ暇だし。と言い加えると不満そうな顔をしつつも、早く行けよと言わんばかりに俺の見上げた。
なんだかんだ、帰るとか言わない辺り可愛い奴じゃ。
それにしても、なまえの私服を見るんはかなり久し振りじゃな。基本的に部活があるせいで、制服かジャージ姿しか見んしな。
羽川と出掛ける気だったせいか、なまえにしては可愛い服装で少し雰囲気が違う様に感じる。
「む、なにさ」
「可愛い格好じゃなぁって」
「っ! は、はぁっ!?」
「照れちょるなまえちゃんも可愛いのぉ」
「な、なんなの!? 頭でもぶったか!!」
「はいはい。ほれ、行くぜよ」
「あっ、ちょ…」
相変わらず、ちっこい手じゃなぁ。なんて思いながらなまえの手を引いて歩いた。
もう抵抗する気もないのか、きょろきょろと周りを見ながらも大人しく手を引かれちょるなまえが可愛いナリ。
そして着いたのは、俺がよく来る映画館じゃ。まぁ、よく来ると言ってもいつも一人で来ちょるんじゃが。
「この間、新しい映画観たいって言ってたじゃろ。どれが観たいんじゃ?」
「いや、言ってたけどさ…あれ。仁王、アレ系あんまり観なくない?」
「そもそもなまえは、ホラー苦手じゃろ。なんでまた」
「いや、ひーちゃんとわかちゃんがめっちゃ面白いって珍しく絶賛してたから、なんか気になって」
「俺は特に平気じゃし、アレ観るか?」
「み、観る!」
「いつもの怖いもの観たさで、すぐに後悔するパターンじゃな」
なまえが指差したのは、過度なスプラッタホラーで騒がれている最新映画だった。
まぁ、なまえはある程度のスプラッタ耐性はあるみたいじゃが…ホラーはまるでダメじゃからな。
そもそも、財前と日吉はなんちゅー映画をなまえにすすめとるんじゃ。いや、あやつの事じゃからなまえをからかっちょるだけな気もするが。
まぁ、なまえが観たいと言うちょるし、俺は別に構わんのじゃが。
なまえは、途中でギブアップしそうじゃな。
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