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……うーむ。
いや、別にね? 泊まる事に関しては、いいんだけどね? 服がね、ないんだよ。そこんとこ、わかってくれねぇかなぁ…。
だからといって、外は大雨で服を買いに行くのはちょっと大変だし。
しかし、手ぶらの千歳くんに帰れとも言えない。ていうか、時間もかなり遅くなってきたからね。そもそも、途中で電車なくなるんじゃないかな。
「なまえは、気にし過ぎばい。服が無くても何も問題なかよ」
「千歳くんが問題なくても、わたしがあるんだよなぁ…」
「…あからん?」
「あぁ…もう! わかった! だけど、服が乾いたらすぐ着てね」
「ん。わかっとるけん」
「んー! 不安だ!」
まぁ、部屋は暖めてるから多分寒さとかは大丈夫だとは思うけどね? 普通に目のやりどころに困るよね。 いや、もう今更だけどさ。
既にてるてる坊主じゃなくて、普通に腕を出してるし。上半身丸見えだし、本当に勘弁して下さいよ千歳さん!!
しかし、そんなあたしを気にする様子もなく幸せそうにココアを両手で持ちながら飲んでいる姿が可愛らしいのが更に憎い!なんだこのおっきい可愛い生物は!!
……よ、よし。冷静になるんだ、そして夕飯を作ろう。さすがにご飯を食べて終わる頃には、服も乾くだろうし。
そして幸せそうにココアを飲んでいる千歳くんを置いて、キッチンに向かい夕飯の準備をする。
尚、千歳くんがこっちに来ようとしたので絶対にそこから動かない様に強めに言っときました。いや、そんなてるてる坊主擬きの格好でキッチンに来られたら危ないからね。
だからって毛布を取るのはNGなのでやめて下さい。
「んー…なまえ〜…寂しか」
「くっ…可愛いな! もう少しで出来るからいい子にしててくれ!!」
「いい子にしとったら、ご褒美くれると?」
「とんでもなく強欲だった! あ、うわっ! わ、わかった、わかったから立たないで! ご褒美あげるから!」
「ん、楽しみばい」
「このあざと策士め!」
でっかい子供の様に、ニコニコとあたしを見つめながら左右に揺れている千歳くんが物凄く可愛い。なんだあの生き物。
だが、上半身は丸見えだ。
いや、まじで目のやり場に困るんだよなぁ!! 恥ずかしいんだよなぁ! 照れるんだよなぁ! だけど、本人が全然気にしてないのが腹立つんだよなぁ!!
そして無事に千歳くんが大人しくしていてくれたお陰で(?)夕飯を済ませる事が出来ました。
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