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……いやぁ、もうね。
やっぱりあたしって甘いなぁって思いました。



「本当に寒くない?」

「ん、大丈夫ばい」

「すぐ乾かすからね」

「そぎゃん、気にせんでよかよ?」

「さすがにパンイチで、毛布にくるまってる人を気にしない訳にもいかないですね」



結局、"脱いじゃアカンとね?"と悲しそうに訴えて来る千歳くんに負けました。

いや、まぁ…確かにズボンはキツイと座るの大変だし、まぁ…うん。毛布にくるまってれば、何も見えないから良しとした。

その結果、とんでもなく大きなてるてる坊主が目の前にいるんだけどね。なんだこれ、こわい。

せめて腕を出せばいいのに、と思ったが…パンイチだから寒いよね! 腕がそのまま出ちゃうもんね!



「それで、あたしに会いに来たって事でいいのかね?」

「たぶん? 気付いたら来てたと」

「夢遊病かな?」

「明日休みだけん、大丈夫ばい」

「あたしの言葉をキャッチして! 投げっぱなしにしないで! 会話のキャッチボールして!!」

「なまえが元気そうでよかったと」

「すっごく呑気!!」



相変わらず、マイペースな千歳くんに振り回されているなまえさんです。いや、悪気はないと思うので、別にいいんだけどさ。

それに理由はどうあれ、わざわざ大阪から来てくれたってのもあるしね。しかし、来る前に連絡くらいはして欲しかったぜ。

とりあえず、毛布にくるまった状態でソファーに座ってる千歳くんに温かいココアを出してあげた。

飲みにくいだろうけど、そこは我慢して貰うしかない。



「服は2時間くらいで乾くだろうから、それまでゆっくりしてていいよ」

「ん〜…服が乾いたら帰らんといけん?」

「え、いや、だって誰にも何も言わずに来ちゃったんでしょ? 帰らなきゃ、困るでしょ?」

「ん? 部活も休みだけん、大丈夫ばい」

「え、ん、んん? そっか、ならよかった…のか?」



いや、よくないよね。
なにを千歳くんのペースに呑まれてるんだ。

ていうか、今気付いたけどさ…千歳くんほぼ手ぶらだったよね。なんていうか、本当に何も考えずに来たって感じだよね。

まぁ、思い付き?でフラッと来た感じだから仕方無いんだろうけど。いや、普通の人はフラッと大阪から神奈川に来たりしないんだよなぁ…。

そしてなんだかんだで、千歳くんに事情(?)を聞いたが…あたしが求めていた答えは返ってきませんでした。

うん、知ってた!


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