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そして食事も終わり、片付けも済ませた俺となまえさんは、俺の部屋で布団について話していた。
「とりあえず、なまえさんにはお客用の敷き布団を持って来ますね」
「なんで?」
「いや、なんでって…寝ないんですか?」
「いや、寝るけどさ。その辺で雑魚寝するから布団は大丈夫大丈夫」
「大丈夫じゃないですね」
「いやいや! 敷き布団の片付けって大変なの知ってるからいいよ! 使ったら干したりしなきゃならないんだし」
いや、まぁ…それはそうだが、さすがになまえさんに雑魚寝をさせる訳にはいかない。
かといって、なまえさんが折れるとは思えない。
となれば、俺の布団で寝てもらうしかない訳だが…これは、また一緒に寝るフラグじゃないか。前にも似た様な事があったが…あれはなまえさん家だった訳で、まだ多少余裕はあったが…。
いや、まだなまえさんが一緒に寝ていいと言った訳じゃない。断れば、布団を持って来て別で寝られる。
「・・・じゃあ、俺の布団で一緒に寝るのはいいって事ですよね?」
「え?まぁ、うん。それならいいよ!」
いや、いいのかよ。
ダメだ、なまえさんには常識が通用しないんだった。
やっぱり、俺は精神の鍛練を強いられているのか…と、俺は頭を抱えた。
そしてそんな俺をよそに、じゃあ布団敷くね〜!と布団を出し始めるなまえさんに、もう溜め息しか出なかった。
本当にバカだ、この人。
「ねぇねぇ、わかちゃん」
「・・・なんですか」
「なんか敷き布団ってエロスを感じるね」
「・・・はい?」
「いや、なんかベッドより距離感近く感じない? ていうか、どきどきする!」
「ちょっと何を言ってるかわからないですね」
「えぇ? ほら、なんかこう向き合って座ってるとさ・・・・、ぎえー! なんか恥ずかしい!!」
一体、何を言い出すんだこの人は。
そもそも、何を勝手に想像して恥ずかしがってるんだ。この俺を更に追い込みに掛かって来るとは、なんという人だ。
・・・これは、精神の鍛練だ。
そもそも、自分の部屋に好きな人がいて…更に自分の布団で一緒に寝るってなんだ。
ただの拷問じゃないか。
「へいへい、わかちゃんカモンカモン!」
「腹立つ」
「こわっ!!」
「本当に危機感ないですよね。ぶっ飛ばしたいくらいに」
「今しがた、生命の危機を察知したよ」
「そっちじゃないです」
「なんかよくわからんけど、わかちゃんなら大丈夫だよ!」
「本当…腹立つ」
「ちょ、こわっ!?」
この状況じゃ、俺に何されても文句は言えないのに…安心しきって笑ってるなまえさんに頭を抱えた。
まぁ…信用されてるのは嬉しいが、やっぱり複雑だ。
でも、まぁ…なまえさんに泣かれるのは、嫌なので…結果的に何も出来ないんだけどな。
しかし、このままなのも腹が立つので少しいじめてやった。
(本当、なまえさんって酷いですよね)
(ふぁ!?)
(俺の事、バカにしてます?)
(いやいやいや! なんで!?)
(俺、なまえさんと違って自分の布団に人寝かせるの初めてなんですけど)
(ふぁっ!?)
(責任取ってくれますよね?)
(えっ…うわ、ちょ、近い近い近い!)
(何されても文句ないですよね?)
(え、いや…う、うん?)
(うんじゃないです、本当にバカなんですか)
(あたしにどうしろと!?)
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※結局、なまえに振り回される日吉
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