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「っ・・!ひっ・・・」
「ちょ、なまえっ…痛っ」
「ひぃ、っ…!」
「だから言ったじゃろうが」
「こ、こんなに恐いだなんて聞いてないもんっ…!」
案の定、ホラーが苦手ななまえはガクブルしながらスクリーンを見上げていた。
しかし、恐いからもう観ないという考えはないらしく…俺の腕に爪を立てながら必死に声を抑えている。まぁ、さっきから小さな悲鳴が聞こえちょるが。
スプラッタやグロに関しては、やっぱりそれなりに強いらしく大したリアクションはないが…いちいちビックリポイントで驚き過ぎじゃ。こっちがビックリするじゃろうが。
というか、涙目で必死にスクリーンを見上げちょるなまえが可愛くて映画に集中出来んのじゃが。
◇◆◇◆◇
そして映画が終わる頃には、なまえは疲れ果ててぐったりとしていた。
「大丈夫か?」
「う、うぅ…ひーちゃんとわかちゃんに騙された」
「じゃろうな」
「もう今日シャワー浴びる時、地獄じゃん。拷問じゃん」
「どんだけ恐かったんじゃ」
「部屋に一人でいるのが嫌になるくらいには、恐怖してるよ」
いや、そこまでか。
確かに、心霊番組とかを観た後もグループLINEで赤也とギャーギャー騒いどったしな。
結局、幸村による更なる恐怖怪談話が始まってそれどころじゃなくなってたが。
確か、そういう時は羽川と電話しながら寝ちょるって言ってたが。毎回思うが、自業自得じゃろうに。
「く、くそぅ…」
「気分を変えて、飯でも食べるか?」
「あの惨劇のスプラッタを観た後に食事に誘うとかとんでもねぇな!!」
「なまえは、スプラッタとかグロ耐性あるじゃろ」
「確かに! 全然、気にならなかった!」
「それで何が食べたいんじゃ?」
「ハンバーグ!」
「スプラッタ映画を観た後にハンバーグって…なまえの方がとんでもないんじゃが」
まさかのハンバーグ。
いや、確かにハンバーグは美味いが。スプラッタホラーを観た後で食べたいと思える辺り、さすがなまえじゃな。
とりあえず、なまえの様子を見る限りゆっくり出来る場所が良さそうじゃな。
そして着いたのは、姉貴の友達ん家が経営しちょるカフェ&バー。昼間がカフェで夜間がバーって感じじゃな。
「なにこのお洒落なカフェ。仁王に似合わなくて笑うんだけど」
「いつも俺が来るんは夜じゃからな」
「不良か」
「無料でダーツとビリヤードをしに来ちょるだけじゃ」
「不良じゃねぇか!」
ダーツは、家でも出来るがビリヤードは無理じゃから仕方ないじゃろ。
とりあえず、ここは飯も美味いしなかなか知られとらんし、かなりの穴場ってとこじゃな。
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