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朝になる前にゆっくり目を覚ました俺様は、びっくりする。
自分がぐっすり寝てた事もそうだけど、真歩ちゃんが自分の腕の中に居るのにも吃驚した。
そして未だに、スヤスヤと俺様の胸にくっついて寝ている真歩ちゃんに、自然と笑みがこぼれる。
長い真っ黒な髪に指を通せば、サラサラと指の間をすり抜けていく。
真っ白な真歩ちゃんの肌のせいで、よく映える。
うーん…今では、真歩ちゃんの姿がないと、なんだか不安になるくらいだもんなぁ。
そういえば、最初会った時は倒れたまま雨に打たれて、泥でドロドロに汚れてて泥人形みたいだったなぁ。
今思い出せば、あの姿さえ可愛く思えてしまう自分に自嘲気味に笑みが溢れた。
ははっ…今なら素直に真歩ちゃんを救いたいし守りたいと思うもんなぁ。
まぁ、旦那と同じ気持ちだよね。
ぎゅっと真歩ちゃんを抱き締める手に力を入れれば、胸元で真歩ちゃんが小さな声をあげて体を捩った。
「こんな気持ち初めてかもね」
スッと真歩ちゃんの頬に優しく触れるように撫でれば、猫のように頬擦りをする。
あー…それにしても、これはこれでかなり辛いかなぁ。
いつもなら好き放題に出来てたのに、いざ好きな女になるとなんも出来ないとかね。
はぁ、俺様も落ちたねぇ…。
まぁ、寝てるってのもあるけど。それにしたってこんな安心して、眠ってる真歩ちゃんもなんだか不思議だ。
血に染まって汚れた俺様を良い匂いとか言うし。まずないって…血の匂いが染み付いてるに決まってる。
だから、逆に俺様からしたら真歩ちゃんから血の匂いがしないのがよくわかるし。
その香りが妙に落ち着く。
最初から変わった匂いの女だと思ってたけど、今じゃそれが俺様からしたら安心出来る香りだ。
鎌之助は、それに人一倍早く気付いたからあんなに引っ付いてたんだよなぁ。
変態なのも伊達じゃないね。
ていうか、今更だけど真歩ちゃんって好かれ過ぎじゃない?
旦那に忍隊でしょ?かすがは、女だけど軍神並みに、真歩ちゃんを溺愛してるし。
ていうか、この調子だと真歩ちゃんに会う奴…みんな惚れるんじゃないの?
うわぁ…奥州に行きたくねぇ。会わせる前からわかるもん…絶対、竜の旦那とか真歩ちゃんの事気に入るよ。
あの人も女に見境無さそうだし。
そんな馬鹿な事を思っていたら、いつのまにか日が昇っていて急いで真歩ちゃんを起こした。
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