君の視線の先に | ナノ

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そして時間は、刻々と過ぎて行った。

真歩ちゃんは、すでに部屋で寝ている。

上田からあんだけ走って来て、その後かすがと手合わせしたんだから、そりゃあ疲れてるよね。


「佐助か…なんだ、私に用か?」


それで暇だったし、久しぶりに会ったのもあるし、俺様はかすがの元に来ていた。

まぁ、屋根の上だけど。


「いや、用って訳じゃないけどさぁ。ほら、久しぶりだし?」

「ならば、消えろ」


かすががこっちも見ずにクナイを数本放つが、全て避ける。

てか、真歩ちゃんと俺様への態度違いすぎじゃない?


「酷いなぁ〜…。真歩ちゃんとは、あんなに楽しそうに話しているに」

「真歩は、お前とは違う。わかったら失せろ」


いや、そりゃあそうだけどさ。それにしても酷いでしょーが。

消えろ、失せろって俺様泣いちゃう…。


「いやー真歩ちゃんって不思議な子だよねーってさ。かすがもそう思わない?」


敵意むき出しのかすがを無視してゴロンと寝転がる。

それを見てかすがもゆっくりと腰をおろす。

つまり、真歩ちゃんの話なら聞くってか。本当に真歩の事気に入ってるんだな。



「不思議と言えば不思議だな。真歩は、汚れを知らない子供の様で放って置けない」


純粋で無垢だって言ってたしね。

確かに放っておけないのは、わかるかな〜俺様もそうだし。すぐ無茶するし暴れるし。


「傷跡の事、聞かないんだ?かすがなら怒ると思ったけど」

「ふんっ、真歩がお前のせいじゃないって言ったのだ。本当ならお前も真歩と同じ様にしてやりたいがな」


ハハッと苦笑いをこぼす。

かすがにも言ったのか。やっぱり、優しいなぁ…真歩ちゃんは。

まぁ、なんも考えてないんだろうけど。



「俺さ、真歩ちゃんを斬ってさぁ…。裏切りが嘘だって気付いた時、本気で後悔したんだよね」

「・・・・・」

「しかも死に掛けてんのに、笑顔でお礼なんて言ってくんだぜ…?なんか訳わかなくなってさ〜。目の前が真っ暗って言うか…」

「傷付けてから、本当に大切な物に気付いたと言う訳か?」



そう言いながら、ゆっくりとかすがが振り向きこっちを向く。

そして、怒っているのかよくわからない表情で俺を睨んでいる。

いや、睨んでる時点で怒ってるか。



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