君の視線の先に | ナノ

 18 (1/3)



城に無事に着いて、今は軍神がいる部屋の前で待機中。

暫くして、軍神の声がしてゆっくりと襖を開ければ、かすがと軍神の姿が目に入る。


「よくきましたね。ふみとわたくしにはなしがあるとききましたが」


相変わらず、綺麗な顔ですこと。

初めて見る軍神に、真歩ちゃんも吃驚してる様で、目をぱちくりさせてる。


「え、はい…あたし真歩って言います」

「はじめてみるかおですね。なんともかわいらしい。わたくしは、うえすぎけんしん」


なんか俺様が疲れてきた。

軍神のしゃべり方苦手なんだよね。そんで真歩ちゃんは、また吃驚した顔してるし。

今度は何に吃驚してるんだろ。


「え?男の人…ですか?綺麗…あ、すいませんっ!」


いや、どんだけ素になってんのよ。

いや、まぁ…真歩ちゃんの気持ちもわかるけどねぇ。ていうか、かすがも何誇らしげな顔してんの。

ていうか、本題本題。

相変わらず、軍神を凝視している真歩ちゃんを無視して、ゆっくりと軍神へ文を差し出す。


「とりあえずは、これを読んでからかな」

「なるほど。わかりました」

「かすがが言ってた以上に、綺麗な人でびっくりしちゃった」

「…あぁ」



ちょっと、真歩ちゃんは静かにしてなさい。小さく話しても、目の前だから聞こえてるからね。

だけど軍神は、そんな事も気にせずに文に目を通していく。

さーて、どう出るか。


「なるほど、わかりました。それと真歩とあなたがここへきたのはなにか、りゆうがあるのですか?」


さすが軍神、話が早い。


「真歩ちゃんが自分で話す?」

「うん。だけど、言葉が変だったり説明おかしかったら途中で助けてね」

「了解」


そして真歩ちゃんが自分の事を黙々と話していく。

軍神も相槌を打ちながら時折、眉間にシワを寄せたりとしていたが最後まで聞いていた。

ちなみに印の説明は、俺様が詳しく話した。

真歩ちゃんらは、よくわかってないみたいだったから。


「えっと…その印がこれ、です」


着物をずらして右肩を見せると、すぐに軍神の方へ向きなおす。


「なんとひどい…。真歩のためになるのなら、わたくしたちもちからをかしましょう」

「あたしの為ですか?」

「えぇ、わたくしは真歩をきにいったのですよ。かすががきをゆるすくらいですからね。おだのきょういよりも真歩のためですよ」


あらまぁ〜こんなに早く話が付くとは思わなかった。

そして、優しい笑みで真歩ちゃんの頭を撫でている軍神。

いや、なんか色々とおかしいよね。


「え、あ…ありがとうございます。謙信様が優しい方で良かったです」

「ふふふ…それはわたくしのせりふです」


まぁ、とりあえず軍神は大将の案に乗ってくれた。

正確に言えば、真歩ちゃんの為らしいけど。



prev / next