君の視線の先に | ナノ

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とりあえず、休息中の海野が居ないが、さっき大将達と話していた内容を話す。

鎌之助と小介が懲りずに真歩ちゃんに張り付いているが、とりあえず今は放っておく。

腹が立つけど、今は話をするのが先だ。


「あたしの為にそこまでしてくれるなんて…」

「嫌だった?」

「ううん、素直に嬉しい」


珍しく真歩ちゃんが素直に嬉しそうにしている。

うーん、これも大将の力なのかねぇ。


「真歩って素直に笑うとやっぱり可愛いな」

「えっ?いや、小介に言われたくないよ。あたしなんかより、可愛い顔してるくせに!」


そんな事を言いながら、張り付いている小介の頭をくしゃくしゃと撫で回す真歩ちゃん。

いや、そろそろ突っ込むべきかな。


「ていうか、鎌之助と小介はなんで真歩ちゃんに、そんなべたべた張り付いてる訳?」


いや、まぁ…真歩ちゃんも嫌がってる訳じゃないんだけどさ。

それがまた面白くない。


「そりゃあ真歩にくっついてたいからだろーが!なんか、真歩の匂い落ち着くんだよなぁ〜」


いや、理由になってるんだかなってないんだかわかんないから。

鎌之助は、スリスリと真歩ちゃんに頬擦りをすれば"くすぐったいよ"と身を捩る真歩ちゃん。


「俺もなんか真歩にくっついてたいってだけっすよ。長には、わからないかもしれないっすけど」


いや、まぁ…わからなくもないけどさ。

お前等は、忍なんですよ!そこわかってる?

はぁ、もう少し考えろよなぁ…。


「俺も出来れば混ざりたいがな」

「才蔵のムッツリスケベ!だけど、残念ながら混ざれないけどな!」


小介がヒラヒラと才蔵に手を振る。

てか、才蔵…お前まで、いつからそんな奴になったんだよ。俺様、ちょっと悲しい。


「はぁ…とりあえず、話を戻すけど。真歩ちゃんになにか考えある?」


んー…と天井に目線を上げてなにかを考えている。

てか、鎌之助がスリスリしてんのが滅茶苦茶気になるんですけど。

小介は、ぎゅうぎゅうと抱き締めてるし。お前等は、子供か!!


「えーと、同盟を組むんでしょう?」

「織田を討つまでだけどね」

「文で同盟を申し込むって…ちょっと失礼じゃないかな?」


真歩ちゃんの言葉に頭を傾げる。

失礼?なにが?

文で同盟申し込むのは、普通でしょ。


「えと、だから文じゃなくてあたしが直接頼みに行きたいなって…」

「はい?」

「みんなが織田を討ちたがってるとしても…同盟の理由には、あたしの事も関係あるし。だから、あたしが頼みに行きたいなって」


まぁ、言いたい事はわかるんだけどさ。

さすがの俺様も真歩ちゃんのこの申し出には、少しばかり返事に困った。



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