君の視線の先に | ナノ

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そして庭先に出て、真歩ちゃんに木刀を渡す。



「相手は、どっちがいい?」



才蔵と鎌之助を呼び出して、真歩ちゃんに選ばせる。まぁ、別に俺様でもよかったんだけど、真歩ちゃんが勝てる訳ないし。

まぁ、才蔵と鎌之助でも同じだろうけど。


「・・・。あたしに勝たせる気ないみたいだね」

「やる前からずいぶんと弱気だね。なら、くのいちにする?」




別に勝たせる気がない訳じゃないんだけどさぁ。才蔵と鎌之助なら寸土めとか出来るし、怪我しないと思ったんだよね。

俺様のちょっとした、優しさだったんだけどなぁ。



「某もくのいちの方がいいと思うで御座る」


・・・旦那は、わかってないなぁ。


「はいはい、わかったよ。律、ちょっと頼むわ」


俺様の言葉にスッと現れたのは、最初に真歩ちゃんの面倒を見てた律だ。一応、真歩ちゃんとは顔見知りなはず。



「えっ…あのお手伝いさんって…くのいちだったんだ」

「はい、よろしくお願いいたします」



やっぱり覚えてたんだ。

律は、くのいちの中でも腕がたつ方だけど…寸土めとか出来ないだろうからなぁ。

まぁ、いい勝負になれば楽しいんだけど。



「じゃあ、律は一本取られたら負けで、真歩ちゃんは膝ついたら負けね」



ちなみに律は、武器あり。

死なない程度にって言っといたから、まぁ死にはしないだろうけど。



「長の命令なので手加減は、しません」

「はい、頑張ります。でもあたしも諦めは悪いので…」



そして俺様が手を振り下ろせばすぐに構える真歩ちゃん。

うーん、大人しそうな顔してるけど…構えは悪くないなぁ。

それに律の出方を伺ってる辺り、やっぱり馬鹿じゃないらしい。正直、何も考えずに真っ先に突っ込むかと思ったのに。

そして、最初に仕掛けたのは律だった。

クナイを足元目掛けて放つ。それを間一髪で避ける真歩ちゃん。

だけど、すぐに律が距離を詰めて蹴りを入れるがそれを両腕で防いだ。



「へぇ、なかなかやるねぇ。肉体派って感じじゃなかったけど、動きいいね」



それも呪囚のおかげなのか、真歩ちゃんは攻撃をする暇はないが、律の攻撃を全て避けるか防いでいる。

律が何度目かの蹴りを入れると、それを防ぐとそのまま律の足を掴み上げて律の体制を崩した。

そして、倒れている律に木刀を振り下ろす真歩ちゃんにちょっと不味いかもと内心焦った。


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