君の視線の先に | ナノ

 05 (1/3)


真歩ちゃんを寝かせてから、暫くして廊下を凄い勢いで駆けてくる足音がして溜め息を吐く。


―――スパンッ!


「佐助!真歩はっ!?」

「無事だからそんなでかい声出さないの。後、廊下は走っちゃ駄目って何回も言ってるでしょーが」



"ならよかった…"と安堵を漏らしながら、ゆっくりと真歩ちゃんのそばに腰を下ろした。

いや、俺様の話聞けよ!
…まぁ、もういいけどさ。
旦那だし。


「なにがあったか、話せ」


そして、いつも以上に真剣な旦那に少し驚きながらもすべて話した。

呪囚の印についてわかってる事も全て。もちろん、二人を安土に向かわせた事もね。



「何故、真歩は一人になりたがるのだろうか…。何故、某を頼ってはくれない…」



いやぁ…それが普通だと思うけど。旦那は名のある武将な訳だし、真歩ちゃんは…まぁ一応一般人だとして頼れる訳がないよね。



「迷惑掛けられないって、何回も言ってたからねー」



まぁ、実際今普通に迷惑掛けられてるんだけどさ。

あ、でも真歩ちゃんから助けてくれとは言ってないから、なんとも言えないかな。

そもそも、なんで俺様は真歩ちゃんを助けたんだろ。



「佐助!真歩には、此処で住んでもらうぞ!」

「はぁ?なんでそうなるの…」

「真歩を危険な目に遭わせたくないのだ。印の事もあるし、口答えは許さぬぞ」



うわぁー旦那酷い。

自分勝手だなぁ…本当に。



「どうせ口答えしたら減給とか言うんでしょ?」



もちろんと言わんばかりに頷く旦那に溜め息を吐きながら、渋々了承した。



「だけど、怪しい動きしたら容赦しないからね」

「大丈夫だ。真歩は、怪しい奴などではない」



その自信どっからくるんだろうねぇ…。まぁ、俺様がちゃんと見てれば問題ないから…いっか。



「だけど真歩ちゃんがまた出て行くって言ったらどうするの?」

「そんな事は言わせぬ!必ず此処に居てもらう!」



あちゃー…あの旦那が女にこんなに必死になるなんて珍しい。もしかしなくても…旦那、真歩ちゃんの事が…。



「ふふふ、旦那ってわかりやすいよねー」

「な、なにがだ!」



そんな顔真っ赤にしなくてもいいじゃん。まぁ、だから余計に真歩ちゃんを傍に置きたい訳ね。

だけど、まだ真歩ちゃんの疑いが晴れた訳じゃないから、やっぱり俺様がしっかり見張らなきゃね。



prev / next