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真歩ちゃんを寝かせてから、暫くして廊下を凄い勢いで駆けてくる足音がして溜め息を吐く。
―――スパンッ!
「佐助!真歩はっ!?」
「無事だからそんなでかい声出さないの。後、廊下は走っちゃ駄目って何回も言ってるでしょーが」
"ならよかった…"と安堵を漏らしながら、ゆっくりと真歩ちゃんのそばに腰を下ろした。
いや、俺様の話聞けよ!
…まぁ、もういいけどさ。
旦那だし。
「なにがあったか、話せ」
そして、いつも以上に真剣な旦那に少し驚きながらもすべて話した。
呪囚の印についてわかってる事も全て。もちろん、二人を安土に向かわせた事もね。
「何故、真歩は一人になりたがるのだろうか…。何故、某を頼ってはくれない…」
いやぁ…それが普通だと思うけど。旦那は名のある武将な訳だし、真歩ちゃんは…まぁ一応一般人だとして頼れる訳がないよね。
「迷惑掛けられないって、何回も言ってたからねー」
まぁ、実際今普通に迷惑掛けられてるんだけどさ。
あ、でも真歩ちゃんから助けてくれとは言ってないから、なんとも言えないかな。
そもそも、なんで俺様は真歩ちゃんを助けたんだろ。
「佐助!真歩には、此処で住んでもらうぞ!」
「はぁ?なんでそうなるの…」
「真歩を危険な目に遭わせたくないのだ。印の事もあるし、口答えは許さぬぞ」
うわぁー旦那酷い。
自分勝手だなぁ…本当に。
「どうせ口答えしたら減給とか言うんでしょ?」
もちろんと言わんばかりに頷く旦那に溜め息を吐きながら、渋々了承した。
「だけど、怪しい動きしたら容赦しないからね」
「大丈夫だ。真歩は、怪しい奴などではない」
その自信どっからくるんだろうねぇ…。まぁ、俺様がちゃんと見てれば問題ないから…いっか。
「だけど真歩ちゃんがまた出て行くって言ったらどうするの?」
「そんな事は言わせぬ!必ず此処に居てもらう!」
あちゃー…あの旦那が女にこんなに必死になるなんて珍しい。もしかしなくても…旦那、真歩ちゃんの事が…。
「ふふふ、旦那ってわかりやすいよねー」
「な、なにがだ!」
そんな顔真っ赤にしなくてもいいじゃん。まぁ、だから余計に真歩ちゃんを傍に置きたい訳ね。
だけど、まだ真歩ちゃんの疑いが晴れた訳じゃないから、やっぱり俺様がしっかり見張らなきゃね。
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