君の視線の先に | ナノ

 19 (2/3)


それで真歩ちゃんとかすがは、庭先で手合わせ的なものをやりはじめて、俺と軍神はそれを見ている。


「あのきずあとは?」

「あれは、俺様が斬った跡だよ。」


完璧に怪我は、治ったが傷跡はやっぱり残ってしまった。

俺様が真歩ちゃんを殺そうとした時の傷。


「なるほど…いろいろわけありなのですね」


チラッと真歩ちゃんを見れば、胸元には不釣り合いな大きな傷跡。

包帯を取った後に、真歩ちゃんに謝ったのを覚えてる。

だけど、謝らないでって怒られたなぁ。ていうか、軽く頭叩かれたからね。


"「これはあたしの弱さが招いた結果だから…佐助は、悪くない。この傷を負った時に、弱いあたしは死んだの。だからこの傷は、今のあたしが生きてる証拠。後ね、強くなった証」"


そう言いながら、笑ってたっけなぁ。

確かに、あの事があってから真歩ちゃんは変わった。

もちろんいい意味で。

なんか俺様の方が、真歩ちゃんに助けられる気がするよなぁ。

俺様が気にしてるのを真歩ちゃんは、きっと気付いてたし。



「真歩ちゃんって本当に優しいよなぁ」

「ふふふ…そうですね。そうあなたをおもわせたはなし、きかせてくれますか?」

「軍神もびっくりするような話だぜ?」

「ふふふ、それはたのしみですね」



なんだか、今日は俺様も気分がいいみたいだ。

いつもなら話すはずもないような話を軍神にしていた。

そして真歩ちゃんに会ってからの、全ての事を軍神に話していた。



「忍隊も危ういってねー」

「ふふふ…ほんとうに真歩は、おもしろいこですね。あなたがこんなにたのしそうにはなしをするのも、やはり真歩のおかげですかね」

「あー、肝心な話してなかったわ。いやぁ、悪いね…軍神」

「いえいえ、たいへんたのしかったですよ。真歩のことをはなすあなたは、ほんとうにいいかおをしていましたよ」



そう言って優しく笑う軍神に少しばかりつられて笑ってしまう。

昔の俺ならあり得ないだろう。

やっぱり真歩ちゃんと居るようになってから、なにか俺様はおかしいみたいだ。



「なーんか…真歩ちゃんと居ると落ち着くんだよね」

「おや、やっとすなおになりましたね」

「軍神が言わせたんでしょーが」

「ふふふ…そうですね」



そんな事を話ながら本題の印の話をし終わると同時に、真歩ちゃんとかすががこちらに向かってきた。



prev / next