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それで真歩ちゃんとかすがは、庭先で手合わせ的なものをやりはじめて、俺と軍神はそれを見ている。
「あのきずあとは?」
「あれは、俺様が斬った跡だよ。」
完璧に怪我は、治ったが傷跡はやっぱり残ってしまった。
俺様が真歩ちゃんを殺そうとした時の傷。
「なるほど…いろいろわけありなのですね」
チラッと真歩ちゃんを見れば、胸元には不釣り合いな大きな傷跡。
包帯を取った後に、真歩ちゃんに謝ったのを覚えてる。
だけど、謝らないでって怒られたなぁ。ていうか、軽く頭叩かれたからね。
"「これはあたしの弱さが招いた結果だから…佐助は、悪くない。この傷を負った時に、弱いあたしは死んだの。だからこの傷は、今のあたしが生きてる証拠。後ね、強くなった証」"
そう言いながら、笑ってたっけなぁ。
確かに、あの事があってから真歩ちゃんは変わった。
もちろんいい意味で。
なんか俺様の方が、真歩ちゃんに助けられる気がするよなぁ。
俺様が気にしてるのを真歩ちゃんは、きっと気付いてたし。
「真歩ちゃんって本当に優しいよなぁ」
「ふふふ…そうですね。そうあなたをおもわせたはなし、きかせてくれますか?」
「軍神もびっくりするような話だぜ?」
「ふふふ、それはたのしみですね」
なんだか、今日は俺様も気分がいいみたいだ。
いつもなら話すはずもないような話を軍神にしていた。
そして真歩ちゃんに会ってからの、全ての事を軍神に話していた。
「忍隊も危ういってねー」
「ふふふ…ほんとうに真歩は、おもしろいこですね。あなたがこんなにたのしそうにはなしをするのも、やはり真歩のおかげですかね」
「あー、肝心な話してなかったわ。いやぁ、悪いね…軍神」
「いえいえ、たいへんたのしかったですよ。真歩のことをはなすあなたは、ほんとうにいいかおをしていましたよ」
そう言って優しく笑う軍神に少しばかりつられて笑ってしまう。
昔の俺ならあり得ないだろう。
やっぱり真歩ちゃんと居るようになってから、なにか俺様はおかしいみたいだ。
「なーんか…真歩ちゃんと居ると落ち着くんだよね」
「おや、やっとすなおになりましたね」
「軍神が言わせたんでしょーが」
「ふふふ…そうですね」
そんな事を話ながら本題の印の話をし終わると同時に、真歩ちゃんとかすががこちらに向かってきた。
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