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そして今日は、此処でお世話になる事を告げれば、真歩ちゃんが嬉しそうにかすがに飛び付いた。
「やったー。かすがとまだ居れる!」
「ふっ、そうだな」
「じゃあ早速、修行したいな」
「え、なんの話?」
「真歩に稽古を付けて欲しいと頼まれたのだ。今度と言ったのだが…」
俺様が軍神と話してる間に、なんて事を頼んでるの。真歩ちゃんは、鍛えなくていいって言ってるのに。
いや、まぁ…かすがなら無茶な事させないだろうし…いっか。
「あんまり、変な事は教えないでよ。後、真歩ちゃん結構強いから気を付けてね」
「お前と一緒にするな。それに走ってお前に付いて来たくらいだからな、そのくらいわかる」
まぁ、だよね。
くのいちでもないのに、走って付いて来るとか普通じゃ、有り得ないからね。
ていうか、着物汚れるからちょっと着替えてからにして欲しい。
とりあえず、嬉しそうに部屋を出て行く真歩ちゃんを止めて、着替えるように言えばかすがが自分忍装束を貸すとの事で連れていった。
「軍神…いいの?」
「いいですよ。あんなにたのしそうなかすがは、はじめてみましたよ」
まぁ、軍神がいいって言うなら別に止める事ないか。
止めたところで真歩ちゃんに、ぶぅぶぅ言われそうだし。
「さて、わたくしたちもえんがわで、ふたりのようすでもみながらおはなしをしましょうか」
文を書き終わったのか筆を置くと、それを綺麗に畳みスッと立ち上がると、すぐに現れたくのいちにそれを渡す。
「たのみますね。では、おちゃでものみながら、はなしをしましょうか」
「あぁ、台所貸してくれるなら俺様が用意するよ。一晩、世話になるわけだし」
「では、たのみます。真歩とかすがのぶんも、よろしくおねがいしますね」
「わかりましたよっと」
軍神に台所の場所を教わり、お茶を淹れに向かった。
軍神は、いつもあんな感じだけど…さすがに俺様もあんな楽しそうなかすがは、初めて見たかなぁ。
真歩ちゃんは、いつも楽しそうだけどね。
気付けば忍隊の連中と騒いでるし。
でもそれがいいのかな。みんなもつられて笑っちゃうみたいな感じで。
あの裏表がない感じがね。
いや、裏はあるか…。
裏切るふりして嘘ついたりとか、能天気なお馬鹿に見えて結構、頭も良いし。
だけど、嫌な裏じゃないのは、確かだよね。
本当に不思議な子。忍隊の奴等もよく言ってるけど、忍でいる事を忘れちゃうね。
そんな事を言ってたら駄目なんだけど、なんでか真歩ちゃんと居ると落ち着くんだよね。姿がないと心配だし。
そんな訳のわからない事を考えながら、俺様はお茶を淹れて縁側に向かった。
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