君の視線の先に | ナノ

 17 (4/5)

そして予想以上の真歩ちゃんの脚力で、無事に越後に入って暫く経った。

相変わらず真歩ちゃんは、頑張って俺様の後ろを付いて来ている。

だけど、かなり口数が減った辺り、結構疲れてはいるみたいだけど。

でも体力付けようかなって言う割には、普通に体力あると思うけど。

やっぱり印の力もあるのかねぇ。

そんな事を思ってると、よく知ってる気配に足を止める。

そろそろ来ると思った。


「はぁはぁっ…ど、どうしたの?」


急に止まった俺様の後ろで、はぁはぁと息を上げている真歩ちゃんに答える暇もなく、すぐに抱き上げて木に飛び移る。

そして俺様が居たところに、無数のクナイがザクザクと刺さった。


「…なんの用だ。猿飛佐助!」

「そんないきり立つなよ。文を届けに軍神に会いに来ただけだって」

「えっ、誰?あの綺麗な女の人」


クナイで攻撃されてるのに、呑気か!

相変わらず、肩を息をしながら呑気な真歩ちゃんに、溜め息をつく。


「なんだその娘は…」

「えっ、あたしは真歩です。あなたのお名前は?」

「…か、かすがだ」


ちょ、本当に自由だな!
今の状況わかってんの?かすがだから、大丈夫だけど…他の奴等なら戦闘になっててもおかしくないからね?

それに何故か、かすがも普通に名乗っちゃってるし。


「とりあえず、偵察に来た訳じゃないんだって。だから通してよ、かすが〜」


ゆっくりと木の上に真歩ちゃんを下ろし、文をちらつかせればチッと舌打ちをしてクナイをおろした。


「それで、その娘はなんなんだ?」

「詳しくは、軍神のところに着いたら話すよ」

「もしかして、佐助とかすがさんって仲良いの?」

「なっ、ありえん!!」


いや、そんな全力で否定しなくてもいいんじゃない?

俺様泣いちゃう…。


「つまり、佐助の片思い?…頑張れっ!!」


いや、どんな勘違い!?

確かに、かすがは大切なやつだけど…別に好きとかじゃないし。敵となれば、普通に戦うし。


「佐助、この娘…」

「気にしないでいつもこうだから」

「そうか…。真歩と言ったか?見た感じくのいちでは、ないな」

「はい。ただの一般人です」


嘘おっしゃい!

一般人は、あんなに速く走らないし、体力もこんなにありません!


「まぁいい…。付いてこい」


あ、かすがが折れた。

"はーい!"と何故か、嬉しそうに木から飛び降りる真歩ちゃん。

いや、ちょ、危ないから!!


「っ!いたっ…足に響いたっ…」

で、着地したのはいいが体重を掛けすぎて足が痺れたらしい…。

ていうか、普通に吃驚りするから飛び降りるのはやめてよ。

そして、そんな真歩ちゃんをかすがも吃驚しながら見ていた。


prev / next