君の視線の先に | ナノ

 17 (3/5)

そして、結構な距離を走った俺様と真歩ちゃんは、木陰で休憩中。


「ふぅっ…疲れた。どの辺まで来たの?」


本当なら馬で行くはずだったからなぁ。

まぁ、普通に真歩ちゃん達が騒いでて、忘れたのは俺様の失敗だけど。


「んー、とりあえず越後にはもう近いよ」


うーん、どっかで馬を手に入れるべきかなぁ。

いつまでも真歩ちゃんが、走っていられるとは思えないし。しかもまずは、越後じゃなくて奥州だからね。



「ねぇねぇ、文って何枚あるの?」

「え、一応十枚くらいあるけど」


まぁ、宛名が書いてあるのは、6枚だけだけど。

後の4枚は、協力してくれそうな軍に渡すようにって言われたやつ。


「そんな持ってたんだ。じゃあさ、ルート変えない?越後、奥州にして最後に北条だっけ?そこ行こう」


まず、るーとってなに?

と聞けば行く順番みたいなもんって言われた。

てか、いきなり行き先変えちゃうの?


「まぁ…俺様は、別にいいけど。越後なら此処から近いし」


それに、もしかしたら馬も手に入るし。

あぁ…でもあいつが居るんだよなぁ。絶対に怒るよ…あいつ。


「よし、じゃあすぐに行こ!日暮れまでに着くように頑張るから!」


うーん、日暮れまでねぇ…。
だいぶ無理あるんじゃない?
俺様一人なら余裕だけど。


「日暮れには、無理だと思うよ。真歩ちゃん、足速い訳でもないし。まぁ、別に遅くもないけどさ」

「そ、その内速くなるから!頑張れば大丈夫だよ!」


俺様の後ろを走る真歩ちゃんは、確かにあんだけしか走ってなのに速度は上がった気はする。


「体力が持たないっしょ?」

「大丈夫だよ!死ぬ気で走るから任せて!」


そんなの任せられるか!

どんだけ、日暮れまでに着きたいんだよ。別にゆっくり行けばいいのに…。


「じゃあ、走れなくなったら言って。俺様が運ぶから」

「荷物みたいに言わないでよ!しかも、なんで佐助はそんなに余裕なの?」

「忍だから?」

「理由になってる様でなってないからね、それ」


そして、ブツブツと後ろで文句を言っている真歩ちゃん。

全く…走って行くとか、さすがの旦那でも言わないってーの。


「とりあえず、甲斐を抜けると何があるかわからないから、ちゃんと付いて来てね」

「うん!」

「じゃあ行くよ」


いや、まぁ…さすがに警戒は俺様がしてるから大丈夫だとは思うけど、真歩ちゃんはもう少し危機感を持つべき。

いや、でも…今まで城の外に出た事がなかったか仕方ないのかな。

そんな事を考えながら、そのまま越後へ向かった。



prev / next