君の視線の先に | ナノ

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◇◆◇◆◇

そして翌日の子の刻。


「本当に気を付けるで御座るよ…。もしなにかあれば佐助を置いて、逃げてもいいで御座る」


ちょ、旦那それは酷い。
いや、まぁ…俺様なら大丈夫って、思ってくれてるんだろうけどさ。



「大丈夫だよ。奥州の独眼竜は幸村の好敵手で、越後の軍神はお館様の好敵手なんでしょ?」

「う、うむ…確かにそうで御座るが…」

「余裕だよ。任せて!」



いやいや、その自信は一体どっから来るのよ。

まあ、確かにそこまで気を張る相手じゃないけど、用心しなきゃならないのも事実だからね。


「うぬ…気を付けるのだぞ。佐助、真歩を頼むぞ」

「了解」


特に竜の旦那は、好戦的だからめんどくさそうだなぁ。

右目もうるさそうだし。
あーやだやだ…。


「才蔵、鎌之助、六郎、小介〜。お留守番、よろしくね」


真歩ちゃんが名前を呼ぶと、四人が姿を現して大将と旦那が驚いてる。

いや、普通に出て来るなよ。


「佐助、ちゃんと守れよ」

「帰ったら勝負の続きだからな!」

「怪我しないようにね」

「長、ちゃんと守って下さいね」


お前等、好き勝手言いやがって…そもそも、主の前に堂々と出てくるなよ。


「あの忍隊と、あぁも簡単に仲良く出来てしまう真歩は凄いで御座る」

「どっちが主かわからんのぉ!ワッハハハ!実に愉快じゃ!!」


いや、笑い事じゃないでしょ!
真歩ちゃんは、大将と旦那そっちのけで騒いでるし。

もう少し緊張感を持って欲しい。


「はいはい、お前達帰ったら説教な。真歩ちゃんもそろそろ行くよ」

「みんなは、あたしの見送りに来ただけなのに、説教は駄目だよ」

「いや、それが問題なの。ほら、行くよ」

「うーん…。じゃあ、行ってくるね!」



いや、忍は主の前にそんな普通に出てきゃ駄目なんですー。

って、言ったら"だったら佐助が一番駄目なんじゃないの?"って言われて、なにも言えなくなった。

お、俺様はいいんだよ。


「よし、走ろっか!!」


そして、城門から出て大将達の姿が見えなくなると同時に、真歩ちゃんが急に走り出した。


「ちょ、いきなりどうしたの!?しかもそっちじゃないし」

「えっ…走って体力付けようかなって思って。じゃあ、佐助が前走ってくれる?追い掛けるから」


まーた、無茶苦茶な事を言い出すよ…この子は。

仕方なく真歩ちゃんの手を引いて、前を走る。

もちろんちゃんと速さは、調節してるよ。


「やっぱり佐助は、速いなー」

「当たり前でしょーが。ていうか、まだ周りが暗いから足元には気を付ける様にね」


忍で脚力なかったら話にならないよ。

そして結局、真歩ちゃんが疲れるまでずっと走って移動した。



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