君の視線の先に | ナノ

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「だけど…」

「あたしが文を届けるついでに頼むなら問題ないでしょ?」

「うーん」

「遠い場所は、時間が掛かるかもしれないけど…それだけ誠意が伝わるし」



どうやら、真歩ちゃんはもうその考えしかない様子。

てか、真歩ちゃんにそんな危ない事、大将達がさせる訳ないっての。



「それなら、旦那と俺様が折り入って頼みに行くから」

「それじゃあ意味ないの!ただ見てるだけなんて嫌だって言ってんの。あたしにも出来る事は、あるよ」


あぁ…うん、そうだよね。

真歩ちゃんが素直に織田を討つのをただ待ってる訳もないか。

そもそも、誰かに頼りっぱなしってのが嫌なんだろうね。


「もしなら、戦力に混じるよ。鍛えれば、少しは戦えるようになると思うし」

「はっ!?」

「運動神経は悪くないみたいだから…少しは戦えると思うの」



いや、ないないない。

鍛えるのもそうだけど、真歩ちゃんを戦力に入れるなんてもってのほか。

旦那が絶対許す訳がない。


「いや、だからさぁ〜…。百歩譲って交渉しに行くのは、いいとしても戦力に入れるなんて無理だって」

「むぅ…佐助は頭が堅い。才蔵、幸村の事呼んで来てくれる?」

「御意」

「ちょ、真歩ちゃん!俺様が駄目だからって、旦那呼んでも変わらないってば」


むしろ、旦那の方が絶対に許さないと思うよ。

てか、旦那が来るなら鎌之助と小介って…言われる前に離れてる辺り、少しは忍の意識あるのね。


「真歩ー!!某に何用で御座るかー?」


そして、スパーンと勢いよく襖が開くと嬉しそうな旦那が居た。

廊下は、走っちゃ駄目って何回も言ってるのに…。


「うん、幸村に頼みたい事があるんだけど」

「おぉ、忍隊も揃っているのだな!なにか良い策でも考えていたのか?」


スタスタと真歩ちゃんの側に近付く旦那を鎌之助と小介を見れば膝をついて頭を下げている。

お前等…猫かぶり過ぎだろ。

まぁ…忍なんてそんなもんか。


「佐助は、あたしの頼みを駄目だって聞いてくれないから、幸村に頼もうかなって」

「ちょ、人聞き悪い事言わないでよね」

「ほぅ…その頼み事とやらはなんで御座る?」


そして、さっき俺様に話した内容を真歩ちゃんが旦那に話し出す。

俺様は、絶対に駄目て言われると思うんだけどなぁ。

いや、うん…絶対に言うよね、あの顔は。間違いなく、駄目って言うね。



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