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大将の行動にきょとんとしている真歩ちゃんは、大人しくただ頭を撫でられていた。
「大丈夫じゃ…儂等がその呪囚を必ず解いてやるからのぉ。それまで辛抱してくれるか?」
「お、お館様ぁぁあぁぁあ!!」
ちょ、旦那うるさい!
真歩ちゃんは、少し戸惑っている様子だった。
「いや、あの…ですが…」
「真歩ちゃん…俺様は、頼ってって言ったよね?」
「ん…あたしも頑張り、ます」
ちょ、俺様が期待した返事じゃないんですけど。
まぁ、真歩ちゃんが素直に頼る訳ないか。
とりあえず、断らなかっただけでいいとしようかね。多分、前までの真歩ちゃんなら迷惑を掛けちゃうから〜とかなんとか言ってただろうし。
「うむ。真歩は、佐助と仲が良いみたいじゃな。幸村、負けるでないぞ!!」
え、なんでそうなるの!?
真歩ちゃんも"えっ?"と言わんばかりに目を見開いている。
「佐助、某は負けぬ!覚悟するで御座る!!」
ちょ、旦那も信じないでよ。別に取る気なんてないからね?だから、旦那の好きなようにしてくれていいから。
俺様は、ただ印を押さえる為だけにいるようなもんだし。
旦那の恋路を邪魔する気なんてこれっぽっちもない。
「はいはい…。じゃあ真歩ちゃんは、ゆっくり休んでなよ。大将も旦那も行くよ」
「え、もう終わり?」
「今日はね。いいから休んでなよ」
不満気に俺様を見る真歩ちゃんを無視して、襖を開けると旦那が真歩ちゃんに駆け寄る。
「また来るで御座る。ゆっくり休まれよ!」
なーんか…面白くないなぁ。
まぁ、旦那の好きなようにしていいけどさ。
「うむ…佐助よ、なにか不満か?幸村と真歩が気になるのだろう」
「…まさかっ。そんな事ないっすよ」
旦那と真歩ちゃんが気になるなんて、ないない。
ただ、旦那が心配なだけだって。
真歩ちゃんと旦那が仲良くしてたって俺様には、関係ない。
「まだまだお主も青いのぉ」
何故か、嬉しそうに笑う大将に頭を傾げる。
とりあえず、俺様は別に真歩ちゃんの事なんてなんとも思ってない。
いや、大将は別にそんな事言ってないのになんで、真歩ちゃんが出てくるだよ。
はぁ…やっぱり俺様おかしいかも。
「時期にわかる時が来る」
なにがわかるのか、今の俺様には皆目検討も付かなかった。
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