君の視線の先に | ナノ

 11 (2/3)


あの後、真歩ちゃんは泣き疲れたのか寝てしまい、ゆっくりと布団に寝かせてから部屋を出た。

そして今は、旦那の部屋で安土に行っていた海野の話を聞いている。


今回もかなり驚くような内容だった。

むしろ聞きたくないような話だった。


「じゃあ、なに?呪囚の印の他にも印が刻まれてるって事?」


まず、海野の言ったのは隠の術で隠してある覚醒の印なるものが刻まれてるいるという話だった。


「覚醒の印も禁術の一つで、その印を刻まれた人物の力を無理矢理覚醒させる物らしい」


強大な力ってのは、その印によって覚醒された力の事だったのか?


しかし海野のが話を続ける内にそんな事は、どうでもよくなる。


「じゃあ、覚醒の印はいつ発動されるかわかんない訳?」


呪囚の印は、広がりを見ればわかるが覚醒の印は目で見えない為に確認が出来ない。

そればっかりか、覚醒の印でどんな力が真歩ちゃんに付くのかわからないという。

覚醒の印も禁術の類いでは、あるが呪いではないらしい。だけど無理矢理、力を手に入れるとあって心身にもかなり負担が掛かるらしい。

それに呪囚と同様に痛みも伴う。呪囚だけでも激痛なのにさらに覚醒の印があったなんて知らなかった。


「でも覚醒の印は、実際問題はない。問題は、もう一つあってさ…」


海野の言葉に目を見開く。

痛みを伴うのは、呪囚が広がる時と覚醒の印が発動される時のみだと言うのはおいとして。

呪囚の印を操ってるか聞いたらしいが、本当に見付からなかったら使うが…その必要もなく、すぐに呪囚は広がり切ると言ったらしい。

理由として精神不安定な時や精神的な疲労などで呪囚は、その威力を発揮して一気に広がりを速めるのだと言うと。

だから、なにかある事に呪囚が暴走した。



「なるほど…精神力が脆く扱い易いって意味がわかったよ。勝手に精神的に追い詰めれば、嫌でも呪囚が発動する訳ね」



嫌な手口だ。

それに真歩ちゃんは、我慢強いのもある。死なない限り着々と呪囚が広がっていくって事か。

何処まで真歩ちゃんを苦しめば気が済むんだ。

召喚しただけならまだしも、無理矢理覚醒の印や呪囚で力を無理矢理付けさせて操ろうなんて…ふざけるな。

真歩ちゃんは、なんとなく自分の状況がわかっていたのかもしれない。

だからあんなに殺されようと必死になっていたのかと考えると胸が痛くなる。



prev / next