君の視線の先に | ナノ

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怪我で動けないが一応、才蔵と鎌之助に真歩ちゃんの監視を頼んでから旦那のところ向かう。

襖を開ければ何かの書物を読んでいるようだった。

大将に文書いたのかな?



「佐助か、文ならすでに出したぞ」



あの旦那に心の中を読まれて、驚きつつもゆっくりと旦那に近付く。

そしてくるりとこちらを向く旦那は、難しそうな顔をして書物を持っていた。



「そう、真歩ちゃんはまた印が暴れたから押さえ込んだよ。それでそれなんの書物?」



書物を顎で指すとズイッと渡される。

いや、聞いたんだけどさ。

仕方なく旦那から書物を受け取りペラペラと見る。



「印に付いて色々調べていたのだ。某に出来る事はないかと…」



旦那が読んでいたのは、基本的な印について記されている書物だった。

もちろん禁術である呪囚の印は、載っていない。



「で、なんかわかった?」

「いや…さっぱりわからぬ。しかし呪いの印にも色々あるのだな」



まぁ、わかったら苦労しないよね。

ましてや一応、陰陽師とかの技だし。俺達、忍でも使えるやつは限られてくる。



「禁術の中でも結構な印だよ。他にもまぁ、あるけど」



俺様でも多分、刻めない。
それくらい強力な術。
解く印があったとしても解けるかどうかわからないくらいだ。



「やはりそうか…。ならば俺は、自分自身で真歩を守るしかないのだな。元からそのつもりだったが…印については、佐助…お前に任せる」



旦那は、頭で考えるより体での方があってるしね。

なにも出来ないってわかってくれてありがたいよ。正直、印について教えろとか言われたらどうしようかと思った。



「はいはい、了解。だけど無理は、駄目だよ」

「あぁ、わかっている。それにしても身体能力を上げる代わりにと言う程に真歩は強いのか?」

「いや、確かに素早さとかはあるし反応もいいけど…あれは本来の真歩ちゃんの動きだと思うよ」



身体能力が上がったって感じでは、ない気がするんだよね。

なんていうのか、記憶がないって言ってるから俺様の勝手な予想だけど、元から真歩ちゃんはそういう荒事に慣れてる感じするんだよね。

それに律の空中からの攻撃には、反応が出来なかったのは、避けられないとうかは、どうすればいいかわからなかったって感じだったし。



「ならば、何故あの印は暴れるのだ?力を使う度に侵食が速まるとは聞いていたが…」



確かに、ちょっと激しく動いた後にだいたい真歩ちゃんの印は、暴れた。

だから、余計におかしいんだよね。

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