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意外と真歩ちゃんって我慢強いけど、泣き虫なのかもしれない。
まぁ、いくら泣いてもいいけどさ。
「佐助は、ずるい…馬鹿」
ちょ、いきなり何を言い出すかな、この子は。
「突き放したり…優しくしたり…本当意味わかんない」
「それは、まぁ色々…ね?」
「・・・ふーん」
え、なにその不満気な顔。
いや、まぁ…確かに印象は最悪だろうから弁明はしないけどさ。それに殺し掛けてるし。
「だけど…ありがとう。嬉しかった」
あ、可愛い。
泣き腫らした顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにしてる真歩ちゃんに少しだけ安心する。
少しは、頼ってくれる気になったかな。
「いいよ。それと怪我してるんだからもう寝な」
すっかり忘れてたけど真歩ちゃん大怪我してるんだった。
「え、いや…大丈夫」
「大丈夫な訳ないでしょ」
「それより、その張り付けた笑顔…やめて欲しいな」
えっ、そんな事いきなり言われてもやめられる訳ないでしょーが。
てか、そんな顔で見ないで。なんか凄く悪い事してる気分になるから!
それに真歩ちゃんも人の事言えないよね。
「真歩ちゃんだって、作り笑顔ばっかりでしょーよ」
「あたしもやめるから…だから、佐助もその張り付けた笑顔やめよ?」
「仕事柄、そういう訳にもいかないんだけどねぇ」
「じゃあ…仕事の時は、いいけど…あたしと話してる時はやめてくれる?」
ハハッ…なにそれ。
難しいこと言うねぇ。
「はいはい、努力しますよ。真歩ちゃんには、思った事を言うようにするよ。泣き顔可愛かったとか」
「っ!な、なに言って…」
俺様の言葉に顔を真っ赤にさせて、目を見開く真歩ちゃんに少し笑ってしまう。
やっぱり、辛そうな顔されるよりこっちの方が全然いいね。
そして、恥ずかしかったのかなんなのか…俺様から視線を反らすと、布団に潜ろうと布団を引っ張るが、俺様が乗ってて動かない。
だけど、必死に布団引っ張りながら顔を隠している真歩ちゃんの姿に思わず笑いが溢れる。
「こら、そんな力いれると傷口開くってーの」
そして、ゆっくりと布団の上から退いてやると、勢い余って腕を畳にぶつける真歩ちゃんを見て更に笑うと"うぅー"と不満気に唸った。
「とりあえず、安静にしてるんだよ。俺様は、もう行くけどなんかあったら呼んでね」
「うん…ありがとう」
うん、やっぱり可愛い。
そして恥ずかしそうに笑う真歩ちゃんの頭を撫でてから、俺様は部屋を出た。
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