▼ 09 (3/5)
そして無理矢理、真歩ちゃんの腕を退かして右肩を出せば、案の定印が真っ赤に染まり広がろうとしていた。
「ほら、肩噛んで。我慢しなくていいから」
抱き寄せるようにして真歩ちゃんの体を包み素早く印を結ぶ。
「もう何も我慢しなくていいから」
優しく触れるように手を当てれば、ビクッと真歩ちゃんの体が跳ねて肩に痛みが走る。
「……っんん!…っふ!!」
ぎゅうっと俺様の胸にある手にも力が入るのがわかる。
今回も長い。
ただ、印が治まるまで俺は手を肩に当てながら左手で真歩ちゃんの頭を撫でていた。
泣いているのか嗚咽混じりで、俺様の肩を噛んでいる真歩ちゃん。
今までまともに泣いた事がなかったから、相当痛いんだと思う。
「もう少し頑張って…」
長い時間、印を押さえ込んでいる俺様も疲れてきた。
だけどやっと落ち着いてきたようで、そろそろ終わりそうだ。
「…っ…うっ…」
肩を噛んでいる力が弱まって来て、段々としっかりとした嗚咽に変わる。
ゆっくりと肩から手を離せば少し広がったが、印は元の濃紫色に戻っていた。
今回は、特別長かったな。
「・・・大丈夫?痛かったよね」
ゆっくりと真歩ちゃんの頭を撫でるとビクッと肩を上げる。
「…っ我慢しなくていい…なんて言われた事なかったっ…。ごめん、よくわかんない…や」
そう言って真歩ちゃんは、俺の胸の中で泣いていた。
我慢し続けてきた分を吐き出してるんじゃないかってくらい、ポロポロと涙を溢す真歩ちゃんの頭を撫でた。
「うん、我慢しなくていいよ。それと無理に笑わなくていいよ。辛いなら…痛いなら笑わなくていい」
「っ、佐助って変なの…。自分だって張り付けたような笑顔なくせに」
その言葉に目を見開く。
まさか真歩ちゃんに言われるとは思わなかった。
「俺様は、いいの。それが仕事みたいなもんだし」
「じゃあさっきの言葉も仕事?」
グスグスと泣きながら真歩ちゃんが顔を上げて俺様を見る。
うわぁ…真歩ちゃん泣き顔って結構ヤバイかも。
いつも無表情っていうか、あんまり表情出さなかったからね。
そして真歩ちゃんの泣き顔に少しながら興奮しつつも口を開く。
「仕事な訳ないでしょ。俺様は、思った事を言っただけ」
真歩ちゃんは、何にたいしても我慢し過ぎなんだよ。
そんなんじゃいつか壊れる。
"仕事ならこんな事しないよ"っと頭を撫でると、またポロポロと涙を溢した。
prev / next