▼ 09 (2/5)
眠っている真歩ちゃんの横に並んで座り、二人でさっきの話をする。
真歩ちゃんが俺達の話を聞いていた事とか、操れて俺達を殺すくらいなら俺達に殺された方がいいって言ってた事とか。
あれが全部、俺達の為にした事だとわかった今…俺様は、なにも言えなかった。
話を聞いていたと言うのなら自分の記憶がない理由も知ったはずなのに、それでも真歩ちゃんは俺達の為に演技をし、裏切り者として殺されようとした。
「真歩は、俺達の為に命を捨てようとした。だから俺は、命を掛けてその真歩を守ると決めた」
命を掛けるのは、どうかと思うけど…旦那は一応武将な訳だし。
だけど、俺様も今回の事で真歩ちゃんは何よりも俺達を思ってくれてる事がわかった。
だから、俺様も真歩ちゃんを信用する事にした。
まぁ、さっき一戦交えた時も真歩ちゃん結構本気みたいだったし。
なにかあったら俺様でも止められるみたいだからね。
「だけど、織田はどうするつもりなの?」
「どうもしない。お館様に一度報告をしなければ」
「それならしてあるよ。真歩ちゃんを上田に住まわせてるってだけだけど」
詳しくは、直接がいいよね。
だけど…チラッと真歩ちゃんを見れば痛々しく包帯が巻かれている。
当分は、動けないから大将に会わせるのは治ってからかな。
「ならば、すぐにでもお館様にこの事を知らせなければ!お館様ぁあああぁぁ!!」
ちょ、旦那うるさい!声もだけど走らないで!真歩ちゃん起きちゃうから!
そしてドタドタと走って行ってしまった旦那にため息を付きながら、真歩ちゃんに目線を移す。
傷が痛むのかうっすら真歩ちゃんの額に汗が滲んでいるのに気付く。
そして真歩ちゃんが急に体を起こして右肩を押さえ始める。
「え、右肩痛いの!?」
ゆっくり真歩ちゃんを包むように抱き寄せると、大丈夫と言わんばかりに体を離される。
大丈夫な訳がない。
怪我もしてるし、痛みを我慢しているせいで右肩に爪を立て始める真歩ちゃんに少し腹が立った。
本当に、いい加減頼れってーの。
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