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あたしに見張りがいる事は、なんとなくここにお世話になってからすぐに気付いた。
元々、視線とかに敏感だったし。
厠に行きたいからとりあえず付いて来られるのは嫌だから、一言何処にいるかわからない見張りの人に話し掛ける。
「厠に行くので付いて来ないで下さい」
返事が返ってくるわけでもなく、なんだか独り言のようで恥ずかしいがそのまま部屋を出た。
だけど、あたしの気持ちをわかってくれたのか、視線を感じなくなり安心して厠を目指すが…普通に迷った。
仕方なく、ふらふらと廊下を歩いていると幸村と佐助ともう1人誰かの声が聞こえて来て…思わず、息を殺すように忍び足で部屋に近付いた。
正直、佐助にすぐに気付かれると思ったのに気付いていないらしく、普通に会話をしている。
大事な話でもしているのだろうか。
そして耳を傾けて3人の会話を聞いたあたしは、愕然とした。
自分の正体と召喚された理由。
そして無理矢理操れるということ。
・・・やっぱり、ここには居られない。
そう思ったあたしは、厠に行くのも忘れて城を飛び出した。
だから嫌だって言ったんだ。迷惑掛けるからって、殺して欲しいって。
結局、あたしは幸村達のお荷物にしかならない。いつ爆発するかわからない、爆弾を抱えてるようなものだ。
死を望んでいたって言うなら今、ここでもそうだ。だけど幸村達は、きっとあたしを殺さない。何度頼んでも駄目だったんだから。
だったら力ずくで殺してもらうしかない。きっとあたしが居なくなったと知ったら、佐助を始め忍のみんなが探しに来ると思う。
あたしは、そんなに足も早くないし…すぐに見付かるはずだ。
もちろん、逃げ切れるならそれはそれでいいんだけどね。下手な侍にでも挑んで死ぬことも出来るから。
あたしには、自分で死ぬ勇気がないから、結局誰かに殺してもらわなきゃいけないんだ。
何も覚えていない。本当の自分さえもわからない。だけど、本当にあたしは死にたかったんだろうな。
だから、この時代に召喚された。
だけど、こんな過去に来てまで人に迷惑を掛けたくない。
・・・そうだよ。
条件にあったようにあたしは、我慢強いんだよ。だから大丈夫、あたしなら出来る。
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