君の視線の先に | ナノ

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そして、ちょうど部屋に入ろうとした時に海野が報告の為に現れたが、今はそれどころじゃなかったので先に旦那に報告するように言ってすぐに部屋に入った。

すぐに横になれる様に布団を敷いてから、向かい合うように座り印を素早く結ぶ。



「痛いなら、俺様の肩噛んでいいから。我慢してね」



そして印を結んだ手を真歩ちゃんの肩へ、優しく触れるように当てた。

だけど、俺様の肩を噛まずに必死に自分の下唇を噛んで痛みに耐えている真歩ちゃんに、思わず頭を空いてる左手で肩へ持っていく。



「下唇じゃなくて肩噛んでいいよ。それと拳を握るなら俺様の腕でも掴んでな」



ふるふると痛みに耐えながら拒否をする真歩ちゃん。

そんな噛んでたら下唇なくなるってーの。

仕方なく、真歩ちゃんの鼻をつまんで口を開けたところに勢いよく肩へ押し付ける。

必然的に肩噛む真歩ちゃん。

それにしても、今回はやけに長いな。右肩の熱がなかなか引かない。



「痛いよね、もう少し我慢して」


そして肩を噛む力が徐々に弱まっていくのがわかる。痛みが引いてきたのか、右肩の熱も段々と治まってくる。

完全に熱が消えると真歩ちゃんは、グッタリと俺様に寄り掛かるようにして肩で息をしていた。



「…よく我慢したね」



固く閉ざした瞳には、うっすら涙が滲んでいる。

なにがこんなに真歩ちゃんを我慢させているのか不思議で仕方ない。

本当なら泣く程、痛いはずなのに。



「…っ…肩、ごめっ…ん…」



途切れ途切れそう言うと真歩ちゃんが噛んでいた肩に触れた。

多分、血が出てるんだと思う。

まぁ、痛くないって言ったら嘘になるけど真歩ちゃんの痛さに比べたら、こんなの痛さに入らないし。



「いいよ、あのまま下唇噛んでたら大変な事になってたし」



汗で張り付いた髪を退かしてやると、すまなそうに顔を伏せる真歩ちゃん。



「迷惑を掛けられないって言ったそばから、ごめんなさい…」



ていうか、あの痛みに耐えれる方が凄いけどね。

それに迷惑ってか、今更だけど。



「あー別に、俺様は平気だけど。とりあえず手当ての続きするから」



そしてゆっくり真歩ちゃんから離れて、手のひらとさっき律と勝負した時の怪我を手当てした。

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