君の視線の先に | ナノ

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あぁ、本当に真歩ちゃんって馬鹿だなぁ。

旦那に手を掴まれてそれを振りほどいて、旦那と言い合いをしている。

だけど旦那も譲らない。

というか、今まで冷静に冷静にと頑張ってた真歩ちゃんも声を荒げてるし。



「某は、真歩を救いたい!だから死に急ぐような事は、やめてくれ!!」

「だから、死にに行くって言ってるでしょ!いい加減、わかってよ!!」



うーん…どうしたもんかねぇ。そして、勝負に勝ってしまった律もすまなそうに二人の様子を見ている。

いや、お前が悪いわけじゃないんだけどね。



「真歩ちゃんこそいい加減、素直になりなよ。少しは、旦那を頼ってみれば?てか、勝負に負けたわけだし」

「…勝負に負けたら言うこと聞けって事?佐助って本当に性格悪いよね。あたしは、迷惑を掛けたくないって言ってるのに、2人共バカなんじゃないの…!?」


え、いや…急に口悪過ぎでしょ。ていうか、態度変わり過ぎだよね。

え?もしかして、こっちが本性?


「某は、迷惑などと思ってなどいない!必ずや、某が真歩の呪囚を解いてみせる!」

「まぁ、俺様も手伝ってあげるし」



まぁ、妙な真似したら殺すけど。旦那に言われた以上は、俺様も逆らえないしね。



「・・・後悔したって知らないんだから。だけど、一つ約束して…もしあたしが操られる様なら、そうなる前にあたしを殺して。それが出来ないならここには、居られない」



旦那は、なんて言えばいいのかわからないのか黙ってしまう。まぁ、いくらもしもの話でも殺す約束なんてしたくないもんなぁ。



「いいよ。その時は、俺様が殺してあげる」



で、汚い仕事は俺様の仕事。

旦那が心を痛める必要はない。俺様は、別に真歩ちゃんをなんとも思ってないし。

旦那や俺様に牙を向くなら躊躇なく殺す。旦那が出来ないって言うなら、いくらでも俺様が代わりに汚れてやる。



「・・・そう、ならいい。佐助なら迷いなく殺してくれそうだから、安心だね」

「そんな事には、ならぬ!だからそのような約束はいらぬ!!」



はいはい、わかったわかった。何回も殺す殺す言って悪かったって、だからそんな顔で俺様の事を睨まないで。



「じゃあ、とりあえず手当ての続きを…」


―――ドサッ


一応、話がまとまったって事で真歩ちゃんの手当てしようとしたら、旦那の隣にいた真歩ちゃんが崩れるように倒れた。

慌てて旦那が真歩ちゃんを抱き起こすと右肩を押さえていた。

やっぱりと言うべきか…。

とりあえず、すぐに旦那から真歩ちゃんを受け取り部屋に向かった。



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