君の視線の先に | ナノ

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しかし律は、すぐにクナイで木刀を防ぐと後ろに飛び退く。



「律、本気だって言っただろ?」

「も、申し訳ございません。次で決めます。真歩さん、これでおしまいです」



いくら油断してたとはいえ、律を追い詰めたのは事実。やっぱり侮れないねぇ。

そして律がクナイを構えて地を蹴り、空中からクナイを放つ。その降り注ぐクナイを避けきれず、真歩ちゃんの体から血が舞う。

その姿に旦那が止めようとするが、それ俺様が阻止する。

ここで止めたら意味がない。

今にも泣き出しそうな旦那に"ちゃんと見てなよ"と言えば、静かに頷き大人しくなった。

というのも、律のクナイには糸が付いていて真歩ちゃんの手足を縛り上げてるからだ。



「勝負あったかなぁ」

「っ、…っく!」



俺様の言葉に無理矢理、糸を切ろうとしているのか無理に体を動かす真歩ちゃん。

その結果、糸がギリギリと真歩ちゃんの手足を締め上げて血が糸を伝い流れ落ちる。

さすがにこのまま無理矢理動き続けたら、真歩ちゃんの手足が切り落ちてしまう。



「っ、真歩っ…!!」



その事がわかっている旦那が名前を呼ぶと、真歩ちゃんは苦痛に顔を歪ませながらも必死に笑顔を浮かべていた。



「あ、勝負あったね」

「っ、っ…あっ」



そして糸に気を取られている間に律が背後に回り、首に手刀を入れるとグラリと真歩ちゃんの体が崩れた。

すぐに律が支えたので、倒れてはいないけど真歩ちゃんの膝は、地面についている。



「はい、律の勝ち」

「真歩さん、大丈夫ですか?命令とはいえ、すいません。すぐに手当てをします…」



そして真歩ちゃんの手足に巻き付いた糸を取り除くと、すぐに手当てを始める律に旦那が駆け寄る。

あちゃー…律のやつ、旦那に怒られちまうか?



「律!よく勝ってくれた!!」

「えっ…はい、有り難き御言葉…」

「・・・・・」



そんな中、黙って手当てをされている真歩ちゃん。

傷は、深くはないがだいぶ血を流しているせいかかなり顔色が悪い。



「勝負は、真歩ちゃんの負けだよ。これで真歩ちゃんを殺すのは、なしね」

「…じゃあ、あたしは織田に挑んで死んでくればいいのね?」



え、いや…どんだけ怒ってんのよ。

あからさまに機嫌が悪そうな声色で俺様を睨む真歩ちゃんにちょっと驚く。


「・・・さよなら」


そして手当てをしていた律の手を止めて、ゆっくり立ち上がる。

だけど、手刀をもろに食らったせいで頭がくらくらするのか、よろよろと歩き出す真歩ちゃんを旦那が止めた。

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