君の視線の先に | ナノ

 05 (3/3)


とりあえず、部屋はここを使って貰って…後は、軽く敷地内の案内かな。

多分、厠とかも知らないだろうし。まぁ、女中を付けるから大丈夫だろうとは思うけどさ。

もちろん、監視も付けるけど。



「とりあえず、必要な物とかある?」

「・・・な、いかな?わからない、です」

「うーん。まぁ、必要な物があれば言って」

「うん」

「それで、動けるなら軽く敷地内を案内してあげるけど。どうする?」

「・・・お願い、します」



うーん、なーんだろ。
さっきまでは、わりと砕いた話し方だったのに急に畏まる真歩に頭を傾げる。

まぁ、別にそんなに気にする事じゃないんだろうけど、やっぱり気になるじゃない?でも、まずは案内を済ませようかね。

そして、ゆっくりと布団から出て来た真歩ちゃんを連れて廊下に出た。



「こっちの突き当たりに厠があって、この辺の部屋は空き部屋になってるんだよね。まぁ、入っても別に問題はないけど、間違えない様にね」

「はい」

「で、こっちに行って〜この廊下のあの大きい襖が大広間ね。まぁ、食事する場所とでも思っといて」

「はい」

「そんで旦那の部屋は、少し離れてるから、まぁ…また後で教えるよ」

「・・・それはいいです。必要最低限の行き来しかしない予定なので」



つまり、旦那の部屋に行く予定はないって事ね。まぁ、確かに旦那の部屋を教えるのは少し躊躇するからね。

まぁ、俺様が見張る予定だし?旦那もこんな丸腰の女の子に負けたりは、しないだろうけど…まぁ、必要ないならいいや。

それにしても、本当にさっきと態度が違うなぁ。なんなんだろう?今更、なんか企んでるとか?



「ねぇ、なんでそんな畏まってるの?」

「・・・やっぱり迷惑を掛けてる訳だし」

「旦那がいて欲しいって言ってるんだから、いいんじゃない?」

「・・・佐助、様からしたら全然良くないんでしょ?」

「なんでそう思うの?旦那が良ければ、別に俺様はなんでも構わないけど」

「・・・そう」

「後、旦那を名前で呼んでるんだから、俺様にも様は付けないでいいし畏まらないでいいよ」



ふーん、なるほど。
さすがにただの馬鹿ではないみたいだね。一応、自分が俺様にどういう目で見られてるか理解してるって事だし。

だけど、まぁ…旦那の命令は絶対だからね。面倒事だろうと、俺様に拒否権はないし。

別に何かあれば、俺様が始末すれば事は済むからね。

正直、助けといてなんだけど…ちょっと後悔してるからね。よくわからない印持ちとか、厄介でしかないし。

でも、なんでかなぁ…"わかった"とムスッとした顔をして頷く真歩ちゃんを見てると、不思議な気持ちになるのは。



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