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とりあえず、部屋はここを使って貰って…後は、軽く敷地内の案内かな。
多分、厠とかも知らないだろうし。まぁ、女中を付けるから大丈夫だろうとは思うけどさ。
もちろん、監視も付けるけど。
「とりあえず、必要な物とかある?」
「・・・な、いかな?わからない、です」
「うーん。まぁ、必要な物があれば言って」
「うん」
「それで、動けるなら軽く敷地内を案内してあげるけど。どうする?」
「・・・お願い、します」
うーん、なーんだろ。
さっきまでは、わりと砕いた話し方だったのに急に畏まる真歩に頭を傾げる。
まぁ、別にそんなに気にする事じゃないんだろうけど、やっぱり気になるじゃない?でも、まずは案内を済ませようかね。
そして、ゆっくりと布団から出て来た真歩ちゃんを連れて廊下に出た。
「こっちの突き当たりに厠があって、この辺の部屋は空き部屋になってるんだよね。まぁ、入っても別に問題はないけど、間違えない様にね」
「はい」
「で、こっちに行って〜この廊下のあの大きい襖が大広間ね。まぁ、食事する場所とでも思っといて」
「はい」
「そんで旦那の部屋は、少し離れてるから、まぁ…また後で教えるよ」
「・・・それはいいです。必要最低限の行き来しかしない予定なので」
つまり、旦那の部屋に行く予定はないって事ね。まぁ、確かに旦那の部屋を教えるのは少し躊躇するからね。
まぁ、俺様が見張る予定だし?旦那もこんな丸腰の女の子に負けたりは、しないだろうけど…まぁ、必要ないならいいや。
それにしても、本当にさっきと態度が違うなぁ。なんなんだろう?今更、なんか企んでるとか?
「ねぇ、なんでそんな畏まってるの?」
「・・・やっぱり迷惑を掛けてる訳だし」
「旦那がいて欲しいって言ってるんだから、いいんじゃない?」
「・・・佐助、様からしたら全然良くないんでしょ?」
「なんでそう思うの?旦那が良ければ、別に俺様はなんでも構わないけど」
「・・・そう」
「後、旦那を名前で呼んでるんだから、俺様にも様は付けないでいいし畏まらないでいいよ」
ふーん、なるほど。
さすがにただの馬鹿ではないみたいだね。一応、自分が俺様にどういう目で見られてるか理解してるって事だし。
だけど、まぁ…旦那の命令は絶対だからね。面倒事だろうと、俺様に拒否権はないし。
別に何かあれば、俺様が始末すれば事は済むからね。
正直、助けといてなんだけど…ちょっと後悔してるからね。よくわからない印持ちとか、厄介でしかないし。
でも、なんでかなぁ…"わかった"とムスッとした顔をして頷く真歩ちゃんを見てると、不思議な気持ちになるのは。
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