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暫くすると真歩ちゃんが目を覚まし、旦那が凄い勢いで真歩ちゃんに此処に居てくれと頼んでいた。
もちろん、真歩ちゃんは驚いてきょとんとしている。まぁ、そうなるよね。
そんな中、真歩ちゃんはチラッと俺様を見るとすまなそうに笑った。
「いや、これ以上迷惑掛けられないから。また助けてもらっちゃったみたいだし…」
いや、助けてって言ってないからいいんじゃない?不本意だけど。
てか、旦那が泣きそうな顔してる。え、ちょ、本当に泣きそうなんだけど。
「…嫌で御座るか?」
「いや、嫌な訳じゃないけど…。ただ…ほら、あたしよくわからない存在でしょ?だから、幸村達になにかあったら困る」
ふーん…ここまで来て俺様達の心配ですか。本当に変なやつだな。まぁ、確かになにかありそうだけどね。
だけど旦那がそう簡単に頷く訳がないんだよね。俺様と違うし。
それで、真歩ちゃんが危ない目に遭った訳だし。
「なら此処に居るで御座る!なにかあれば某がなんとかする故、真歩は気にせずともいいのだ。佐助だっているのだから」
えっ?俺様も!?
まあ、裏で見張るのどうせ俺様だからいいけどね。
"頼むと!"と再度、真歩ちゃんに頼み込む旦那を困った顔をして見ている真歩ちゃん。
「こんだけ頼んでるんだから居れば?どうせ行く宛ないんでしょ?」
そして俺の言葉にすまなそうに笑う真歩ちゃんは、すぐに目を伏せた。
「じゃあ…お世話になる」
「やったで御座るぅぅうぅうう!!」
真歩ちゃんの言葉に、手を握りブンブンと振る旦那に目を見開く俺様と真歩ちゃん。
いや、旦那が自ら…しかも女の手を握るなんてあり得ないんだけど。
「え、あ…うん。よろしくね?」
そして戸惑いながらも笑顔で真歩ちゃんが旦那の手を握り返せば、今度は顔を真っ赤にさせる。
「あ、真歩ちゃん耳塞いで」
「は、は、破廉恥で御座るぅぅうぅうう!うわぁあああああぁぁ!!」
相変わらずでかい声だなぁ。
真歩ちゃんは、近距離であの叫びを聞いたために頭が痛いのかオデコを押さえていた。
その間、旦那は凄い勢いで部屋から飛び出していった。
「み、耳がっ…」
「アハー、あんだけ近くで叫ばれればそりゃあ痛いよね」
「もっと、早く言って欲しかった。もしかして、わざと?」
「あ?バレたー?」
そんな俺様の言葉にぷぅーっと頬を膨らませながら、耳を撫でている真歩ちゃんを見て笑った。
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