君の視線の先に | ナノ

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色々な考えを頭のなかで巡らせていると海野が、"後もうひとつ"と口を開く。



「出生の話だけど、全く情報なしだった。むしろ真歩って人物が存在してたいう物が何一つない。存在すらしてないって事になってる」



はっ…未来から来たっては、あながち嘘じゃないのかもねぇ。

いくらなんでも生きてきた証拠が、何一つないなんてあるわけない。

俺達、忍隊の力で出生がわからないなんてまずあるわけないし。



「最近、安土で妙な動きがあったし…それが関係してるのかな」

「あの各地から術者を集めてたやつか。あり得ない話じゃなさそうだね」



って事は、真歩ちゃんは織田の使いかもしれないって事か。やっぱり殺しとけばよかったかなぁ。



「じゃあ、海野と小介は今から安土に言って術者達がなにしてるのか調べてこい。深追いは、しなくていい。なにかわかればすぐに戻れ」

「はいよー」

「了解っす」



海野がスッと消えたかと思ったら、小介がゆっくりと真歩ちゃんに近付いてボソッと呟いた。



「何も女に呪囚なんてしなくてもいいのに。絶対、突き止めて来ます。長は、早く帰った方がいいっすよー?幸村様が凄い顔してたから」



じゃっ。と姿を消した小介の言葉に黙る。

確かに呪囚なんて女にするもんじゃない。むしろ、禁術を使う事態あり得ないんだけどさ。


真歩ちゃんは、一体何者でなんで呪囚なんて印を刻まれているのか…今はまだわからないな。

そして未だに目を覚まさない真歩ちゃんをゆっくりと抱き抱える。

・・・軽い。

こんな細い体でなにが出来るって言うんだ。よく考えれば真歩ちゃんからは、不思議な匂いがする。

それに全く血の匂いがしない辺り、人を殺したこともないただの女だ。というか、死の香りがしないって言うのかな…。

まぁ、とりあえず不思議なのには、かわりないんだけどね。

ただの町娘だったら、顔だって俺様好みだし?一晩お世話になりたいくらいだってのに。

真歩ちゃんを抱き抱え木をピョンピョンと飛びながらそんな事を考えていた。

闇の様に真っ黒い髪に、雪のように白い肌。整った顔に華奢な割りにふくよかな胸とか…本当にもったいない。

暫くして城に付き鎌之助に旦那を呼んで来てもらうように頼んでから、真歩ちゃんを布団へ寝かせた。



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