君の視線の先に | ナノ

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今、真歩ちゃんは忍隊の隠れ家にいる。まぁ、正確に言えば寝てるんだけど。

城に連れて帰るのを躊躇した理由として、旦那になんかあったら困るのと真歩ちゃんが行きたくないのかと思ったから。

それに、助けてって言わない理由も気になるし。

まぁ、ただの興味本意だけど。実際、俺様には関係ないし。

乱れたままの着物を直そうと格闘する事、数十分…やっと出来たらしい。

本当によくわからない着物だ。


ちなみに、右肩に解除の印を結び試したが消えなかった。

だけど真っ赤に染まっていた印は、濃紫に戻り痛みが引いたのか真歩ちゃんな落ち着いた。

うーん、ますます意味がわからない。

一体、なんの印なんだ。あんな広がっていく印なんか聞いたことないし見たこともない。

そして、暫くすると海野と小介がスッと背後に来たのを気付き振り向かずに言う。


「どうした」

「なんの印かわかった。幸村には、既に報告をした」

「そしたらすぐに長に報告して、真歩を探して来いってさ」


なんでなんの印か、わかったら真歩ちゃんを探して来なきゃいけないのさ。

えぇ…なーんか、嫌な予感しかしないんだけど。


「で?なんの印だったの」

「怨恨の禁断の術。その印が刻まれてた者は、印が広がりきると術者の操り人形になる。尋常じゃない痛みを伴う為に操れるまで生きている奴は、ほとんど居ないそうだ」


禁断の術…。

なるほどね、だから印が広がっていったのか。

それに呪縛の印を重ねた意味がわかった。痛みで動けない真歩ちゃんは、そうそう死ぬことが出来ない。下手したら、舌を咬み切るくらいしか死ぬ方法がない。



「で?解除の仕方と術者誰かわかった?」

「解除の仕方は、術者のみしかわからないみたい。後は、術者を殺す以外ない。後さ、付け加えるとさ呪囚の印を刻まれた奴は何らかの力を持っているらしい」

「さっき、だいたいの奴は痛みで死ぬって言ったじゃん?あれは、普通の人間だからであって…それを耐えてる真歩は、なにかあるはずだよ」



何らかの力を持っているから呪囚の印を刻まれたのか。だけどこれといってなにかした様子もないし。そもそも、武器すら持ってなかったしね。

なら一体なんの力を持ってるって言うんだ。

真歩ちゃんに視線を移し、誰がなんの為にこんな事をしているのか考えた。



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