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そして、胸が露になるであろう瞬間に真歩ちゃんが更に拳を強く握った。
「・・・・っ!」
考えるより体が動いてた。
真歩ちゃんに跨がる男を蹴り飛ばし、真歩ちゃんを抱えて距離を取った。
正直、自分でもなにしてんのかわからない。なんで、助けてんだろ。
「なんだてめぇ!」
「殺されてぇのか!」
殺気立つ男達にいつも笑顔を向ければ、更に機嫌を損ねたらしく飛び掛かってくる。
ゆっくりと真歩ちゃんを下ろしてから、順番に男達を気絶させていく。本当なら、殺してもいいんだけど後始末が面倒だからね。
そして最後の男が倒れ込むのを見届けてから真歩ちゃんの元に行くと、右肩を押さえ苦しそうにうずくまってる真歩ちゃんがいた。
「え、右肩痛いの?」
「さ、っすけ…?」
虚ろな目で俺様を捉える真歩ちゃんは、急に立ち上がろうとするが相当右肩が痛いのか、木に寄り掛かりズルズルと座り込んでしまう。
「だ、大丈夫だから。助けて、くれ…たんだっ…ね。あり、がとっ…う…」
木にしがみつきながら必死に立ち上がろうとする真歩ちゃんの肩を掴み、無理矢理こっちを向かせる。
「・・・・っ!」
辛そうに笑う真歩ちゃんは、顔色が真っ青で今にも倒れそうな感じだった。
「っ、ちょっと右肩見せて!」
着物が乱れたままだったから、真歩ちゃんの手を退かせばすぐに右肩を見ることが出来た。
そこには、真っ赤に印が浮かび上がり、昨晩よりも模様が広がっているように見えた。
「…っ大丈夫だから…。早くお城に戻ってっ…」
絶対に大丈夫な訳ないのに、戻れと言う真歩ちゃんに少し苛立ちを覚える。
助けてとでも言えば連れて帰ってやろうかと思ったのに、帰れなんて言われたらその気も失せる。
「こ、これ以上、迷惑掛けられないっ…から。…大丈夫、ですっ…」
ゆっくり肩を掴む俺様の腕を解く真歩ちゃんの手は、小さく震えていて、額には、大粒の汗が滲んでいた。
「佐助はっ…あたしを信じてないでしょう?だからっ…放っておいて、いいよ」
根に持ってるのか?
ズルズルと体を引きずるように俺様から離れていく真歩ちゃん。
「あたしは、佐助がっ…正しいと思う、から…。…だから、もう…放っておいて」
くるっと振り返り、必死に作り笑顔で言葉を紡ぐ真歩ちゃんに胸が痛くなった。
今にも壊れちゃいそうな笑顔で…なんでこんなに胸が痛いのかわからない俺様は、困惑した。
"じゃあね…"とズルズル体を引き摺る真歩ちゃんが、倒れたのはそのすぐ後だった。
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