▼ 02 (4/4)
気を失った真歩ちゃんの顔を拭いてやりながら布団などを取り換える。
律を呼んで着替えをさせるついでに体を拭いてやるように頼み、すぐ布団に寝かせた。
「よく叫ばなかったな」
本当にね。
普通の子があの痛みに耐えられる事が凄い。下手したら痛みで死ぬやつだっている。
だけど真歩ちゃんは、それをほとんど声もあげずに耐えた。
「それにしても…あのもうひとつの印が気になる」
呪縛の印はわかったけど、もうひとつがわからない。だけど、呪縛と一緒って事はよくない印って事はなんとなくだけどわかる。
「佐助!真歩はっ…!!」
そして旦那が凄い形相で勢いよく襖を開ける。どんだけ慌ててるの。
「今は、気失って寝てるよ」
「そうか…」
真歩ちゃんが無事な事に安心したのか、ゆっくりと部屋に入ってくる旦那の背後に珍しく息を切らした鎌之助が入ってくる。
走って追い掛けて来たのね…
「一体なにがあったのだ…?」
そして才蔵と律が血に汚れた布団や着物を片付けているのを見て旦那が心配そうに言う。
とりあえず一連の流れを全て話す。もちろん呪縛の印についても。
「真歩は、誰からか逃げ出して来たのか?」
「いや、呪縛の印がしてあったし動けなかったの旦那も知ってるでしょ?呪縛の印を付けたのにあそこに放置してたのも理解出来ない」
捕まえる為に呪縛の印は、使う物だし。
殺すにしても真歩ちゃんは、傷ひとつなかった。
「未来から来たってのも関係ありそうだね。だけど、此処に置いといたらきっとなにか良くない事が起きると俺様は、思うんだよねー」
見たことがない印もそうだけど、真歩ちゃんの正体が全くわからない今は、俺様的にも余り関わりたくない。
「しかし、真歩は一人では何も出来ないと言っていた。それを見捨てるなど出来ぬ」
まあ、旦那はそう言うと思ったけどさ。
だけどこればっかりは、俺様も譲りたくない。
だけど・・・・
"…やっと名前呼んでくれた"そう言って弱々しく笑う真歩ちゃんの顔が頭をよぎる。
「まぁ、真歩ちゃんが目を覚ましてからまた話を聞くしかないよ」
だけど、そんな事しても意味がない事を俺はわかっていた。
きっと真歩ちゃんは、何も知らない。
だけどそれが俺の…忍の仕事だから。
prev / next