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そしてその夜、鎌之助が凄い形相で俺様の元へ来たので話を聞いて、すぐに部屋に向かった。
どうやら、いきなり女が苦しみだして吐血したと言うのだ。
やっぱり毒だったのか?才蔵が診てるらしいが原因がわかればいいけど。
部屋に着くとゲホゲホと血を吐いてる女を才蔵が必死に支えていた。
「真歩ちゃん!」
急いで駆け寄れば弱々しい笑顔を向けた。
「っ…やっと名前、呼んでくれ、た。…っ!かはっ…うっ、はぁ…っ」
そんな事言ってる場合じゃないでしょうが。もはや吐血って言う量じゃないくらいに、血を吐いてる。
「才蔵、どうだ?」
「原因がわからん…痛いところは、あるか?」
苦しそうに肩で息をする真歩ちゃんがゆっくり目を開ける。
「右肩がっ…熱、い…です」
バッと着物をずらすとそこにあった物に目を見開く。
くのいちは、濃紫だと言っていた墨は、真っ赤になっていてまるで血の様だった。
それより、これは…呪縛の印。
だから動けなかったのか。だけど、その呪縛の印に重なるようにさらになにかの印があるが、見たことがない。
とりあえず、呪縛の印を解除しなきゃならない。
「痛いけど我慢してね。才蔵、真歩ちゃんに布噛ませて」
呪い系の印を解除するのには、それ相応の痛みを伴う。
解除の印を結び真歩ちゃんの肩へ手のひらを押し当てると、印の熱が俺様にも伝わってきて思わず顔を顰める。
かなり強力な呪縛だ。相当の術者じゃなきゃここまで強力な呪縛は、出来ない。
そして少しだけ動けるようになったのか、真歩ちゃんが拳を強く握っている事に気付く。どうやら、爪が食い込んでいるらしく血が布団に滲んでいる。
「もう少しだから我慢してね」
熱が段々と冷めてきてそろそろ完全に呪縛が解除される。
俺の額にもうっすらと汗が滲む。
これで、解除されるっ…
「・・・っんん!」
最後の最後にずっと我慢してた真歩ちゃんが声を悲痛な呻き声をあげた。
むしろ、泣き叫ばないのがおかしいくらいの激痛なはずなのに、よく我慢したと思う。
「はぁっ…鎌之助、旦那呼んで来て」
ズルッと真歩ちゃんの口から布を取ってやると吐血のせいもあってか布は、真っ赤だった。
「…あ、りが…とっ…ござい、ますっ…」
苦しそうに肩で息をしながら真歩ちゃんは、笑顔を向けてそのまま意識を手放した。
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