君の視線の先に | ナノ

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グリンッと真歩ちゃんの頭を竜の旦那の方に向けて、自己紹介する様に言うと"あぁ、はい"とやる気のない声を出す真歩ちゃん。



「えーと、佐助撲滅隊の真歩です。よろしくお願いいたします」

「ちょ、真歩ちゃんなにそれ!?いや、よろしくじゃないからね!?」


いつの間に、そんな物騒な隊が出来たんですか。

そんな俺様をよそに嬉しそうに笑う真歩ちゃん。

この子、緊張感無さすぎでしょ。


「HA!その撲滅隊やらには、俺も入れるのかよ?girl」

「ま、政宗様っ!?」


なに竜の旦那まで悪乗りしてんの。

ていうか、真歩ちゃんめっちゃ嬉しそうだし。

しかもよく考えたら、それ絶対にかすがでしょ。その隊作ったの、かすがでしょ。


「是非。ところでお名前は?」

「あぁ、俺は奥州筆頭伊達政宗。なかなか面白い女を連れてきたな、猿!」


クツクツと喉を鳴らして笑っている竜の旦那。

いや、面白いってかちょっとおかしいだけだけどね。いや、ちょっとじゃなくてかなりかな。


「政宗様ですか、了解です。そちらの強面の方は?」


ちょ、真歩ちゃん!
自由ってか素直過ぎだから。むしろ、失礼だからね!さっきから!


「HAHAHA!強面だとよ、小十郎。自己紹介してやれ」

「政宗様の右目…片倉小十郎だ」


楽しそうに笑う竜の旦那をよそに、露骨に嫌な顔をする右目。

なんかごめん、俺様から謝るよ。


「小十郎様ですね。じゃあ本題に入りますね」


そして展開が早いなぁ、もう!

自由にも程があるでしょーが。


「なんか竜の旦那達ごめんね?
真歩ちゃんっては、空気読めないからさ」

「さて、さっさと話を進めますね」

「えっ…あ、あぁ…」


えっ、無視!?
まさかの無視に竜の旦那達ドン引きしてるからね?

そんなにこにこしてても、駄目だからね!?


―――スパンッ


「梵っーーーーー!!」


ドンッ


「…ぐはっ!!」


急に襖が勢いよく開いたかと思ったら、凄い勢いで竜の旦那が吹き飛んでった。


「ま、政宗様っ!!」

「もーう、梵ったら大袈裟だなぁー」

「成実…てめぇは毎回毎回いい加減にしやがれっ!」


部屋の隅まで吹き飛ばされた竜の旦那が、凄い形相で吹き飛ばしたであろう男を怒っている。

そしてその様子をきょとんとした様子で見ている、俺と真歩ちゃん。


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