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「うぅっ…寒い。夜も寒かったけど、朝も寒いね」
真歩ちゃんを起こしたはいいけど、真歩ちゃんはあまりの寒さにまだ俺様の腕の中に居た。
「そのわりには、朝から元気だねー」
「うぅ〜寒いっ…。てか、佐助寝たの?」
俺様の腕の中でモゾモゾとすると、ゆっくりと真歩ちゃんが顔をあげる。
寝起きであくびでもしたのか目は、うるうるとしている。
「あーうん、寝ちゃった。本当は、起きてるつもりだったんだけどね」
真歩ちゃんの優しい匂いに、安心して寝ちゃったとは…さすがに言えない。
「いや、ちゃんと寝なよ。よーし、準備運動して行こっか!」
え、準備運動するの?
本当に元気だなぁ。
ゆっくりと真歩ちゃんが俺様の腕から離れて行くと、やけに寒く感じた。
そして、まだ温もりが残る両手を見ていると、真歩ちゃんが手を差し伸べていた。
「ほら、佐助も。寒いから準備運動してからね」
「えぇ、俺様もやるの?」
真歩ちゃんの手を握り立ち上がれば、"もちろん!"と笑顔で言われて、仕方なく一緒に準備運動をした。
「よーし、奥州へ行こう!はい、佐助行って行って〜」
「はいはい、わかったよ。ほら、手貸して?」
いつもの様に首をぐるんと回してから、真歩ちゃんに手を差し出すと頭を傾げながら手を握ってくれた。
「真歩ちゃんがはぐれないようにね。後、繋いだ方が温かいでしょ?」
「右手しか温かくないけどね。それに、はぐれないよ!」
「それは、どうかなぁー?だって真歩ちゃんだし」
そんな屁理屈を言いながらも、嫌がる訳でもなくしっかりと俺様の左手を握ってくれていた。
小さい手だなぁ〜本当に。
「どうせ、はぐれても佐助が見付けてくれるでしょ?」
「もちろん」
「だったら安心、心置きなくはぐれられるね!」
「いや、やめてよ。はぐれないように手繋いでるのに」
クスクスと可愛く笑う真歩ちゃんを見てると、なんだか自然と顔が緩んでしまう。
「わかってるよ。手は放さないから」
「そうしてくれると嬉しい」
本当にそう思ったから。
その言葉にきゅっと真歩ちゃんが手を握り直す。
はははっ…俺様、本当に不味いなぁ。真歩ちゃんの一つ一つの仕草が可愛くて仕方ない。
そんな事を思いつつ、奥州を目指して走り続けた。
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