・・・あぁ、やっぱりこうなるんだね。
目の前に映る戦艦を見つめながら、あたしはただただ涙を堪えた。
そしてナタルさんがアークエンジェルに降伏を勧告するが、マリューさんはそれをハッキリと断った。
「私達は、守ってみせるわ。ここを、この場所を…どんな事があっても望みは棄てない」
そう画面越しに優しく笑ったマリューさんがあたしに"大丈夫よ"と言っている様だった。
出撃もさせて貰えず、ただ見ている事しか出来ないあたしを…責める訳でもなく、"待っているから"と…そう聞こえた。
しかし、そんな思いはナタルさんやアズラエルさんには届かない。すぐに戦艦を含めた戦闘が始まった。
「ア、アズラエルさんっ…!」
「ダメですよ」
「でもっ…あたし、」
「エルナには、無理をさせたくはありませんからね」
「もう動けます」
「仮にそうだとしても、今は出撃させられませんね。なので、いい子にしてて下さいね」
・・・っ。
どうしても、アズラエルさんはあたしを出撃させてくれないらしい。
理由はあたしが怪我をしているのもそうだけど、一番の理由はシャニ達は出撃前に薬を飲まなきゃならないし、帰艦しても薬を飲まなきゃならないからだ。そこをあたしに見られる訳にはいかないから…だから、あたしを出撃させるのを躊躇っている。
きっと、出撃させてくれるのは…あたし単独か、あたしが一番最初に出撃する時くらいだろう。
「そんな顔をしないで下さい。大丈夫ですよ。彼等は、前以上に強くなってますから」
「・・・・・」
「ですが、エルナにはそれ以上に期待してますから」
「・・・OSを書き換えて来ます。すぐに出撃が出来る様に」
「それはいいですね。軽くOSは弄ってありますが、エルナの好きなようにしてくれて構いませんからね」
「わかりました」
あたしの言葉に嬉々として笑みを浮かべるアズラエルさんに、グッと拳を握りながら逃げる様にブリッジを出た。
あたしが出撃しなきゃ、キラ達とコンタクトが取れない。もちろん、ティキにはキラ達の事は話してあるけど…ティキがキラにコンタクトを取れるかといったら微妙だ。
なにしろ、ティキは常にシャニ達のフォローをしてる訳だし。多分、通信も繋ぎっぱなしだ。そうなれば、コンタクトのしようがない。
・・・だから、今はあたしに出来る事をしよう。
OSの書き換えで、通信のシャットダウン有無を勝手に変えてしまえばいいんだ。
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