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朝、あたしが目を覚ますと隣にクロトの姿はなかった。その代わりに小さなメモが枕元に置いてあった。


"ありがと"


そう小さく書かれたメモに笑みが溢れる。ゆっくりとそのメモを折り畳んでポケットにしまい、あたしは部屋を出た。

そして廊下でアズラエルさんに会った。



「おや、早いですね。まだ時間には余裕があるはずですが。何処に行くつもりです?」

「あ、おはようございます。今の状況と今日の予定を詳しく聞きに行こうとしてたところです」

「あぁ、なるほど。エルナは、本当に真面目ですね。でも特に変更点はないですよ。後は、オーブの出方次第だからね」

「オーブが地球連合軍側に付いたら出撃はないんですよね」

「そうだよ。でもまぁ…期待はしていないけどね。とりあえず、エルナは部屋で待機しててくれるかい?なにかあればこちらから呼ぶからさ」

「…はい、わかりました」



そう言うとアズラエルさんは、ニコリと笑って去っていった。そんなアズラエルさんに頭を下げてからあたしは、言われた通り自分の部屋に戻った。

本当は、シャニ達の事を聞きたかったけど、間違いなくはぐらかされるだろう。

あたしに部屋で待機する様に言うくらいだし…多分、色々と調整をされてるんだと思う。ティキが明日(今日)は、あんまり俺等に話し掛けない方がいいって言ってたし。


まぁ、話し掛ける以前に会わせて貰えないみたいだけどね…。わかってたけど、やっぱり心配だ。


だからと言ってアズラエルさんの言った事を無視するのは、怖いから大人しく自分の部屋に戻る。


そして気をまぎらわす為にパソコンを起動して未完成の試薬の確認をする。

一時的に精神を落ち着かせる程度の薬は、作る事は出来たが…それじゃあ意味がない。

ティキが言うには、この精神安定剤を飲めばある程度はγ−グリフェプタンを摂取しなくても禁断症状に苦しまないみたいだから、少し改良すればγ−グリフェプタンの摂取回数を減らす事が出来るかもしれない。


依存性が高いγ−グリフェプタンは、stageにより摂取回数や量が違うみたいだからシャニが一番危険と言うことになる。


だけど、まだ試作段階だから…シャニにこれを渡す事は出来ない。それにもう少し改良しなくちゃ、シャニには効果がないだろうとティキに指摘をされた。


そしてあたしは、気をまぎらわす様にパソコンに集中した。




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