あたしのお願いでベッドに横になってもらったはいいけど、いくら経ってもティキの顔色が良くなる事はなかった。
「ティキ?」
「ん?」
「ちょっと、アズラエルさんのところに行って来ていい?」
「・・・どうして?」
「ティキの事、直接言ってみる。前とは違って、誰が見ても体調が悪いのわかるし…頑張ってお願いしてみる」
「そんな事しなくていっ」
「ダメ。本当は薬の事を知らないフリをしてるのだって嫌なのに…ティキの体調くらい気にさせてよ」
アズラエルさんが鈍いのか、それともあたしが鈍いと思われてるのか…未だに、あたしが薬の事を知っている事をアズラエルさんは知らない。
だからこそ、一番動かしやすいティキをあたしの監視として配置してる訳だし、あたしはそれを利用する。
あたしを監視してるのであれば、一緒にいる時間も増える訳で…ティキの様子を伝えても何もおかしくはない。
然り気無く、ティキが体調が悪そうだと伝えればいい。どうにか、助けて欲しいと…お願いすれば何かしら、動いてくれるはず。
そしてまるで納得していない様子のティキを無理矢理頷かせて、寝てる様に言ってからアズラエルさんの元へ向かった。
◆◇◆◇◆
アズラエルさんは、相変わらずブリッジで暇そうにしていた。この艦に来てから思っていたけど…普段、アズラエルさんって何をしてるんだろう。
正直、いつも忙しいって言うわりには暇そうにしている気がする。
そしてそんなアズラエルさんの元へ行き、静かに声を掛けた。
「あの、アズラエルさん」
「ん、ん? あれ、エルナじゃないか。どうしたんだい?」
「ティキの事なんですけど、」
「・・・何かティキが問題を起こしたのかい?」
「いえ、ずっとあたしと一緒にいてくれて凄く心強いです。ですが、最近ティキが具合が悪そうで…心配なんです」
なるべくアズラエルさんを刺激しない様に、それでいてティキが責められない様に、慎重に言葉を選ぶ。
ただ、ティキが具合が悪そうと伝えたところで、そんなのを悟られるティキが悪いとあたしが知らない場所でティキを責めそうなので、ティキと一緒にいる時間が多い事を軽く匂わせとく。
そうすれば、長い時間一緒にいるなら気付いても仕方ないと思ってくれるかもしれないから。
もちろん、ティキを監視に付けている事に関して、あたしが嫌どころか嬉しく思ってる事も強調する。
こうすれば、アズラエルさんもティキをあたしの監視に付けてよかったと思うはずだから。
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