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死角から飛び出して、すぐにドミニオンへ通信を繋ぐ。



「通信障害により連絡が遅れました。撤退します」

「"あぁ、よかった! エルナ、無事だったんだね"」

「すみません。余りにも2機の攻撃が激しくて…通信を繋ぐ余裕がありませんでした」

「"よく耐えたね。今回は、無事に帰って来てくれるだけでいいよ"」

「本当にごめんなさい。ですが、収穫もありました」

「"・・・そう。ふふふ、楽しみに待っているよ"



・・・どうやら、怪しまれずに済んだみたいだ。

そして、ドミニオンとの通信を切ってすぐに全ての通信データの削除をする。帰艦してデータを見られても困る。

もちろん、録音機能もあたしが勝手にOFFにしたから大丈夫だろうけど…念のためだ。

チラリと後方を確認すると、あたしを警戒している様に佇むキラとアスランが見えた。

・・・ありがとう。

これで、あたしに何かあったとしても…シャニ達だけでアークエンジェルに向かわせる事が出来る。


◆◇◆◇◆


「なるほど、確かに。そうかもしれないね」

「なので、次はあたしも一緒に出撃させて下さい」

「そうだね、うん。それがいいかもしれないね。他に何かわかった事は、あるかい?」

「少し様子見をしたいです。あたしの単機特攻で、何か動きがあるかもしれませんし」

「ふむふむ。つまりは、少しの間は何もせずに待機って事かい?」

「はい。幸い、艦長のナタルさんはかなり優秀ですし…相当な不意打ちとかじゃない限り、心配はないかと思います」



頷いて…お願い、頷いて。

キラ達があのデータを確認する時間を稼ぎたい。だから、すぐにまた出撃をさせる訳にはいかない。

ちなみにあたしがアズラエルさんに報告した収穫というのは、そんな大した事じゃない。

単機に対して2機で迎え撃った事と、連携が上手い事を踏まえて…あの2機が深い関係で、どちらかを先に墜とせば、確実に仕留められるはず。

・・・みたいな感じで適当に、情報っぽい感じに言っただけだ。ていうか、普通にわかる事だと思うけどね。

まぁ、その場にいないとわからない事もあるかもしれないから…アズラエルさんにはわからないのかもしれないけど。



「うん、わかった。そうだね、それにエルナも疲れただろう? 少し休憩って事で、暫くは待機 しよう」

「あ、ありがとうございます!」

「しっかりと仕事をしたエルナの言葉だからね、無下にはしないよ」

「ありがとうございます。次も頑張ります」

「うんうん。本当にエルナはいい子だね」



心底嬉しそうに笑うアズラエルさんにゾワリと寒気がした。

・・・都合のいい駒。

きっと、あたしの事をそう思ってるんだろうな。

いいよ、今は都合のいい駒で。シャニ達を助けられるなら、使われてあげるよ。



※アークエンジェル
(これは…酷い、な…)
(えぇ…でも出来る限りの事はするわ)
(キラ…大丈夫か?)
(うん。大丈夫だよ、アスラン)
(これが彼女や彼女の大切な方を…苦しめている薬なのですね)
(こりゃあ…ひでぇな)
(それと…このデータは)
(エルナの…だな)
(だから、エルナをパイロットに)
(あちらさんの切り札ってとこだな)
(・・・エルナ)



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