計算しろ、脳をフル回転させろ。この位置から、ドミニオンの死角を見付けろ。
そこで、アークエンジェルの誰かにデータを渡せれば成功だ。
きっと、あたしが単機で出撃すれば…気付いてくれるはず。信じろ…キラ達を、アークエンジェルの人達を。
「エルナ・アガレス、レーヴデトワール出ます」
「"気を付けるんだよ"」
「はい。必ず、帰ります」
「"うん。待ってるからね"」
「援護はお任せします。では…何かあれば、こちらから通信を繋ぎます」
「"・・・あぁ、わかった"」
・・・酷く頭が痛い。
怖い、怖い、怖い。
もう引き返せない。
そして勢いよく射出し、あたしは宇宙へと飛び出した。
・・・うん、大丈夫だ。
OSをほぼ書き換えたお陰か、すんなりと動かせる。前に乗ってたMSとは、比べ物にならないくらい反応スピードがよくて完璧だ。
これなら動ける。
そしてあたしが出撃した事に気付いたアークエンジェルから2機のMSが出て来たのを確認して、急いで翔んだ。
通信がギリギリ届く距離から、すぐさま通信を投げた。近付き過ぎるのは、良くないから。
ここからだと、ドミニオンから丸見えで…何をしてるかすぐに見えてしまうので、慎重に動かなきゃ。
「"――エルナ! なんで君がっ…"」
「っ、キラ! よかった、通じた。時間がないのっ…あたしに攻撃しながら聞いて!」
「"っ、わかった"」
「ありがとう。今、薬についての全てのデータのコピーを持ってるの。それを渡したい」
「"データ、だけ? 君や、他のパイロットは?"」
「今は…それしか出来ないんです。ドミニオンの死角を見付けて、そこで渡します」
通信を繋ぎながら、キラとアスランさんの攻撃をかわし…キラとアスランさんへと攻撃をし続ける。
あたしが単機だったからか、キラとアスランしか出撃してないみたいでよかった。他の人を巻き込みたくなかったから。
そして、ドミニオンの死角を見付けたあたしはキラにあたしを誘い出す様に動いてもらい、2機を追ってる様にしてあたしも死角へと入った。
「コックピットを開けて、あたしが渡しに出る!」
「"なっ…ちょ、エルナっ"」
すぐさま、コックピットから飛び出したあたしをキラが優しく掴むとコックピットの元に近付ける。
そしてコックピットが開いた瞬間、キラの手に小さなディスクを握らせた。
・・・キラと目が合う。
悲しそうにあたしに手を伸ばすキラにふるふると首を振る。言いたい事は、たくさんあるのに…今は時間がない。
そして、すぐにキラがレーヴデトワールのコックピットへあたしを戻してくれて、急いであたしは死角から飛び出した。
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