17 (2/4) 




・・・わかってた。

アークエンジェルに仕掛けたはいいが、戦況的に不利と判断し撤退をした。

その結果、シャニ達は部屋に閉じ込められている。

あたしには、みんなは疲労困憊で緊急休養中だなんて説明したけど…そんな嘘なのは知ってる。

・・・動きたい。
あたしに出来る事は、限られてるんだから。



「アズラエルさん」

「おや、エルナどうしたんだい?」

「・・・出撃してもいいですか?」

「何を言い出すかと思ったら、何か良い策でも思い付いたのかい?」

「単機特攻をさせて下さい。さっきの戦闘から然程時間も経ってないですし、今なら撹乱も出来ます」



全てのデータは持った。
これをアークエンジェルの誰かに渡す事さえ出来れば、いいんだ。

きっと、もうこの艦で薬を作る事は不可能だ。

あたしが薬を作り行けない上に、きっとティキも自由に動く事が出来ない。

だって、アズラエルさんはきっと…ティキやシャニ達を酷使するから。

どんな手を使ってでも…自分の"正義"を貫くつもりだ。さっきの戦闘の様子を見ていた、アズラエルさんを見て全部…わかった。

きっと、この人には…あたし達の気持ちなんてのは関係ないんだ。自分の"正義"に必要な駒くらいにしか思ってない。

だから、もう…あたしが動くしかないと思った。

きっと、あたしが出撃する時は…ティキやシャニ達が…使えなくなった時、だから。



「状況によっては、隠密で情報も探ってきます」

「・・・出来るのかい?」

「口で説明する事は難しいですが、少し気になる事があるんです」

「へぇ、それがわかれば僕達に有利になるんだね?」

「はい。アークエンジェルを墜とせるかと」

「ふーん…そうだね、エルナがそこまで言うなら出撃を許可するよ」

「ありがとうございます。必ず、いい結果を持って帰って来ます」



・・・出撃の許可は出た。
後は、あたしが上手くやるだけ。

ギュッと拳を握りしめ、ゆっくりとアズラエルさんに頭を下げてから、ゆっくりと背を向けた。

ティキやシャニ達の姿が見えないだけで、こんなにも不安になるよ。

怖い…。
本当は、単機特攻なんて怖くて仕方がない。

だけど、あたしにはこんな事しか出来ないから。結局、誰かにすがり付く事しか出来ないんだ。

自由に動けない以上、どうにか動ける様に理由を付けてどうにするしかない。

・・・大丈夫、大丈夫。
OSの書き換えは完璧だ。

だから、後は…あたしが頑張ればいいだけ。






- 2 -


BACK | NEXT

[ back to top ]