・・・わかってた。
アークエンジェルに仕掛けたはいいが、戦況的に不利と判断し撤退をした。
その結果、シャニ達は部屋に閉じ込められている。
あたしには、みんなは疲労困憊で緊急休養中だなんて説明したけど…そんな嘘なのは知ってる。
・・・動きたい。
あたしに出来る事は、限られてるんだから。
「アズラエルさん」
「おや、エルナどうしたんだい?」
「・・・出撃してもいいですか?」
「何を言い出すかと思ったら、何か良い策でも思い付いたのかい?」
「単機特攻をさせて下さい。さっきの戦闘から然程時間も経ってないですし、今なら撹乱も出来ます」
全てのデータは持った。
これをアークエンジェルの誰かに渡す事さえ出来れば、いいんだ。
きっと、もうこの艦で薬を作る事は不可能だ。
あたしが薬を作り行けない上に、きっとティキも自由に動く事が出来ない。
だって、アズラエルさんはきっと…ティキやシャニ達を酷使するから。
どんな手を使ってでも…自分の"正義"を貫くつもりだ。さっきの戦闘の様子を見ていた、アズラエルさんを見て全部…わかった。
きっと、この人には…あたし達の気持ちなんてのは関係ないんだ。自分の"正義"に必要な駒くらいにしか思ってない。
だから、もう…あたしが動くしかないと思った。
きっと、あたしが出撃する時は…ティキやシャニ達が…使えなくなった時、だから。
「状況によっては、隠密で情報も探ってきます」
「・・・出来るのかい?」
「口で説明する事は難しいですが、少し気になる事があるんです」
「へぇ、それがわかれば僕達に有利になるんだね?」
「はい。アークエンジェルを墜とせるかと」
「ふーん…そうだね、エルナがそこまで言うなら出撃を許可するよ」
「ありがとうございます。必ず、いい結果を持って帰って来ます」
・・・出撃の許可は出た。
後は、あたしが上手くやるだけ。
ギュッと拳を握りしめ、ゆっくりとアズラエルさんに頭を下げてから、ゆっくりと背を向けた。
ティキやシャニ達の姿が見えないだけで、こんなにも不安になるよ。
怖い…。
本当は、単機特攻なんて怖くて仕方がない。
だけど、あたしにはこんな事しか出来ないから。結局、誰かにすがり付く事しか出来ないんだ。
自由に動けない以上、どうにか動ける様に理由を付けてどうにするしかない。
・・・大丈夫、大丈夫。
OSの書き換えは完璧だ。
だから、後は…あたしが頑張ればいいだけ。
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