あの後、ティキと新しい試薬について色々と話をしたんだけど、今の状況的に前のようにあたしを実験室及び薬品室には連れて行けないらしい。
もちろん、前の施設と違って戦艦内だし、そもそもアズラエルさんがずっとこの戦艦にいるので、下手に動き回ると気付かれてしまう可能性が高い。
だから、試薬作りはティキに任せる事になった。もちろん、試薬作りをしないだけでキラから教えて貰った知識をフルに使ってあたしが成分を考えたりして、それをティキが形にする感じだ。
「アズラエルは、前以上にエルナを部屋から出したくないみたいだから気を付けて」
「うん、わかった」
「まぁ、何かあれば監視役に俺を付けるだろうから、ある程度は誤魔化せるけどね」
「でもあたしに何かあればティキの責任になっちゃうし、なるべく大人しくしてるよ」
「ごめんね。エルナの代わりに絶対に薬は完成させるから」
「ううん。あたしこそ、勝手に色々決めてごめんね」
隣で再度キラから貰ったメモに目を通しているティキを見ると、いつもと同じ様に笑うとあたしの頭を撫でた。
どうしたらいいんだろう。
きっとティキは、抵抗薬だけじゃ救えない。前の施設でそうだったけど…ある意味、ティキはシャニ達より身体がボロボロだ。
それにあたしがいるせいで仕事は増えただろうし。ゆっくり休む時間さえ無さそうだ。
・・・・・。
「エルナ?」
「今、あたしの監視はどのくらいの時間を頼まれたの?」
「2、3時間ってところかな。どうして?」
「じゃあ、ここで横になって休んで。監視時間をただ無駄に過ごすなんて出来ないから」
「いや、大丈っ…」
「ダメ! 今だって凄い顔色悪いんだよ。 また薬で無理矢理、動いてるんでしょ?」
「っ…わかった、休む。休むから泣かないでよ。体調崩してるのは事実だけど、これはどうにもならないんだけどなぁ」
そんな事を言いながらゆっくりとあたしのベッドに遠慮がちに横になるティキの頭を軽く撫でると、いつもの様に困った様に笑った。
・・・冷たい。
辛うじて薬で命を紡いでいるティキの身体は、酷く体温が低くく…血色も悪い。
だから、本当なら少し動くだけでもかなりの体力を使う。それをティキは、更に薬で誤魔化していた。
「っ、また…あの薬を打ったんだね」
「今、俺が動けなくなる訳にはいかないからね。大丈夫、まだ死にはしない」
「その薬の成分も教えて。ううん、ティキが服用してる薬も全部教えて」
「ははは、エルナは優しいな。だけど、そんな時間ないでしょ」
「どうせ、部屋から出れないんだから…そのくらいやらせてよ」
「・・・わかったよ。後で薬の詳細データを抜いてくるよ」
正直、あたし程度の知識じゃティキを救う様な薬は作れないかもしれない。だけど、何もしないよりかはマシだ。
そしてティキには、あたしの監視が終わるまでベッドで休んでて貰った。
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